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「顧客理解」のためのデータ利活用

航空事業の一本足ビジネスからの脱却 ANA Xのデータ利活用

大日向健人氏(ANA X)

顧客接点のデジタルシフトに伴い膨大な顧客データの取得は可能になったものの、なかなか顧客理解にまで活用できていないという悩みを抱えるマーケターは多い。ANAのデジタルマーケティングを担う子会社ANA Xの大日向健人氏が、データから顧客インサイトを読み解くノウハウを解説する。

※本記事は、2022年2月14日開催の「デジタルマーケティングカンファレンス2022」での講演内容をもとに作成しています。

3700万以上のデータを駆使し、CXの最大化を図る

ANA Xは、航空事業を担うANAが持つ会員データやデジタルチャネルを駆使し、各種事業・サービスの価値最大化を図る企業です。ここで言う事業・サービスとは、Web上での航空券販売をはじめとする旅行関連事業、保険や金融事業などを指しています。設立自体は2016年なのですが、コロナ禍を経て航空事業の一本足ビジネスからの脱却を目指し、2021年4月に多岐にわたる事業の顧客体験を向上させる企業として再スタートしました。

その中で私はデジタルマーケティング部のコミュニケーション企画チームに属し、パーソナライズ施策の推進やCXの最大化を担っています。サービス、商材、プロモーションのすべてに課題がある中で、それぞれから得たデータを分析し、発見した潜在顧客に対してパーソナライズ施策をあてる。そして、収益やエンゲージメントの側面からの効果検証を行い、PDCAを回す役割です。

ANAが持つ会員データは現在3700万を超え、それらを活用してWeb、メール、アプリ、SNSといったデジタルチャネル通して各事業の推進を行っています。

当社で利用しているデータは具体的に、①搭乗などの航空サービスに関わる実績データ、②ANAカードやマイルをはじめとする非航空サービス実績データ、③オンラインデータ(Web上の行動データ、デジタルコミュニケーションをした結果のデータ)、④機械学習モデルや予測モデル、⑤オープンデータの5つです。

施策によってはアンケートを通じて顧客のフィードバックをもらい、それを機械学習モデルや予測モデルに反映させるなどして、データ分析の精度向上に努めています。

データ利活用が生きるタイミング 施策の「企画」と「検証」

当然ながらパーソナライズ施策は当てずっぽうでつくっては逆効果です。いくつかの要素を起点にして形成していく必要があります。データ利活用が生きるタイミングは施策の企画時、そして検証時が主です。特に...

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