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『瞬間消費』時代の「広告」と「販促」

リアルな接点としてバーを開業 いきなり大量生産しないアサヒビールの新たな選択

梶浦瑞穂氏(アサヒビール)

アサヒビールは2022年1月、電通デジタルとともに合弁会社「スマドリ株式会社」を立ち上げた。「スマドリ」はZ世代、ミレニアル世代の“お酒を飲まない”層とどのようにコミュニケーションをとっているのか。アサヒビール 新価値創造推進部部長の梶浦瑞穂氏に聞いた。

お酒を飲まない層に特化したマーケティング会社を設立

アサヒビールが2021年3月に発売したアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料「ビアリー」。「ビアリー」の投入により、同社の2021年のビールテイスト清涼飲料・微アルの推計販売金額は前年比で118.1%の成長を遂げた。

「ビアリー」はアサヒビールが2020年に発表した「スマートドリンキング(スマドリ)」宣言を体現した商品のひとつ。世界的な健康志向の高まりや責任ある飲酒を推奨する流れの中で、昨今はあえてアルコールを飲まない「ソバーキュリアス」人口も増加していると言われる。実際、グローバル市場ではアルコール全体が伸び悩む一方で、微アル・ノンアルコール市場は年平均で約6%の成長を記録しているという。

「ビアリー」を含むノンアルコール事業も傘下に持つ、アサヒビールの新価値創造推進部を率いるのは梶浦瑞穂氏だ。その梶浦氏は2022年1月、電通デジタルとアサヒビールの合弁会社「スマドリ株式会社」を立ち上げ、その代表取締役社長に就任した。

「アサヒビールでは日本国内にお酒を飲まない成人が約4000万人いると推計している。スマドリの推進は企業の社会的責任という社会価値追求の側面があると同時に、世界的なノンアル・微アル市場の成長から経済価値も両立しうるものと考えている」と梶浦氏は話す。

コロナ禍では飲食店での酒類提供の制限から、ノンアル・微アルの売上は拡大した。しかし、梶浦氏は「売上の拡大は嬉しいが、スマドリの提案が奏功しての効果とは言えない面がある。実際『ビアリー』のお客さまも、多くが普段、お酒を飲む人の代替品という位置づけが多く、だからこそ真にお酒を飲まない人に向けた提案の余地がある」と話す。

飲まない“パリピ”に照準 Z世代対象にデジタルを活用

それでは国内約4000万人のお酒を飲まない人たちに、酒類メーカーであるアサヒビールはどうアプローチをして、市場創造を目指すのか。次なる施策として始まったのが先の「スマドリ株式会社」の設立だった。ここで電通デジタルと協働したことから、その実現に際して、デジタルの手法を重視する戦略が見えてくる。

新会社の設立に際して電通デジタルと手を組んだのは、以前から共に仕事をしていたパートナーであったこと。また基本的にお酒が好きな人しか周囲にいないアサヒビールという企業特性上...

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