パンデミックにより自宅で過ごす時間が長くなった過去2年間で、サブスクリプション(以下サブスク)型ビジネスが急速に伸びている。買い物や外食など、外出や他人との接触を極力避け、オンラインで物品やサービスをまとめてオーダーする需要が増えたためだ。サブスク業界のシンクタンク・Subscribed Institute社の報告書“The Subscription Economy Index”では「過去9年間でサブスク型ビジネスは435%増(5.35倍)で、通常ビジネスと比較して5〜8倍の速さで伸びている」とまとめている。
サブスクといえばこれまで、スポティファイやネットフリックスなどエンタテインメント系のサービスが主だったが、最近では食料品、外食産業、エアライン、アパレル、ITなど多岐にわたる業種がサブスク型ビジネスに参入し始めている。
カジュアルカフェのパネラ・ブレッド 月10.99ドルで26種類のドリンク飲み放題に
カジュアルなカフェ・レストランを全米展開するパネラ・ブレッドは、2020年2月から月額8.99ドルでコーヒー・紅茶(アイス・ホット)飲み放題プランを導入している。そして4月22日にはコーヒー・紅茶以外のドリンクを追加した新サブスクプランを発表。レモネードやソーダなど26種類の飲料が月額10.99ドルで飲み放題(同一飲料は無制限、別飲料は2時間毎に無料)となった。パネラはサンドイッチ、スープ、ベーカリー食品、ピザなど豊富なメニューが揃っており、ドリンクといっしょに他品をオーダーする顧客を増やしたいと考えている。
(1)パネラ・ブレッド
毎日タコス1個が無料に タコベルのサブスクプラン、他商品の併売を狙う
タコベルは昨年9月、アリゾナ州で月額5ドルと10ドルのサブスクプランを試験的に導入したところ、以前から行っている会員特典プログラム入会が21%増となった。そこで今年1月、全米で月額10ドル・サブスクプラン「Taco Lover’s Pass」を開始した。月額10ドルで、7種類のタコスの中から1日1個を受け取ることができる。毎日通えば月10ドルで30個のタコスを食べることができ、単価は30セント(約40円)と格安になる。
現実的に毎日タコスを食べる客は少ないと考えられるが、いつ行っても無料タコスが1個ついてくることで他品オーダーの促進につながると判断した。またサブスク入会前後のオーダー額を比較すると、入会後は35%注文が増えるという...