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広告ビジネスを変える!? ベンチャー企業の挑戦

感情AIで、顧客の潜在ニーズ・感情を可視化する

山本洋平氏(エモテック・ラボ)

HR、CRM、マーケティング幅広い活用を見込む感情AI

2022年4月、顔の表情や発声音、口調のようなノンバーバルの反応を捉えることのできる感情AI「KDE」(Kansei Driven Engine)Version.1がリリースされた。開発したのはEmotech Lab(エモテック・ラボ)だ。「当社では長年、感情AIの研究・開発に従事してきた。今回リリースしたのは、感情認識の先端研究である『KIBI理論』と独自のアルゴリズムによる感情認識AI技術を組み合わせて完成した感情AIで、組織における心理的安全性の担保や顧客の潜在ニーズ・感情の可視化を目的に開発した」と同社、代表取締役の山本洋平氏は話す。

「KIBI理論」とは、山本氏が東京大学・千葉工業大学・東京工科大学との共同研究により確立した感情解析結果の可視化技術理論。すでに海外の学会においても発表、評価を受けており、国内企業において社会実装がなされているという。

「異文化理解・多分化共生に必要なものは、人の気持ちの些細な変化を察する能力だと考えている。こうした力を『機微力』として、その定量化手法・数値解析手法の研究・開発を進めてきた」という。

感情AIの認識対象は動画、画像、音声、テキストと幅広く、「従来の製品にはなかった複合的な感情分析ができる」点に特長がある。

この技術の活用範囲としては、①HR領域における社員のメンタルヘルス改善、組織ビルディング(適正な採用/適材適所の配属)、②CRM領域における顧客と営業担当者との相性マッチング、カスタマーエクスペリエンス向上、③マーケティング領域における顧客ニーズ・嗜好の捕捉、プロモーションの効果測定などを見込んでいるという。

コロナ禍でリアル接点が減少 エンゲージメントが課題に

エモテック・ラボの前身は2009年に設立されたジャパンスタイルデザインで、当初はブランディングデザインの会社としてスタートした。

「創業当時は、デザインで企業価値を最大化し、ユーザの体験向上によって、ビジネスに貢献することを目指し、ブランディングデザインを事業の柱として出発した。私自身は大学院で流体力学、(数値)解析という『見えないものを可視化する』、例えば空気の流れなどを解き明かして、飛行機の翼の形を変えることで抵抗を減らすというような研究をしていた。そこでブランディングデザインに『見えないものを可視化する』=感情を可視化するAI事業を加え、2軸で事業を展開してきた」という。

その後、2022年に社名を変更し、事業内容も感情AIを中心とする事業へと転換。「当社が感情AI事業に注力するのは、コロナ禍の影響によりオンラインコミュニケーションを利活用する顧客企業やパートナー企業が増え、従業員や顧客の感情の機微を...

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