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ブランドビジネスのDX

D2C企業に学ぶ、デジタル社会のブランドの新しい形

山中沙紀氏、神田朋香氏(laboratory)

サプライチェーンがある程度、固定的であることで、質の高い商品を安価で多くの人に提供することが可能になったと言える。半面、はたしてこの体制が、生活者の気持ちの揺れ動きやニーズの変化が激しい今の時代に対応しているのだろうか、という疑問も浮かんでくる。生活者の変化に合わせて、より柔軟に製造・販売・コミュニケーションができないのか。継続的な商品のアップデートを掲げる、アジャイル・コスメティクス・プロジェクトの新しいブランド運営のアプローチを聞く。

常に商品をアップデート 新しい形のブランド運営

アジャイル・コスメティクス・プロジェクト(ACP)は、「開発工程を機能単位の小さなサイクルで繰り返す」というアジャイル開発を導入したD2Cのスキンケアブランドだ。定期的にユーザーのフィードバックを受けながら、短期間で商品をよりよいものへとアップデートし、その時々のニーズに合わせた商品を提供している。通常、商品を短期間でリニューアルすれば、大量の在庫を抱えることになる。しかしACPでは、最小ロットで商品を生産し、在庫を削減することで、アジャイル開発を可能にしている。

本プロジェクトは、大手化粧品メーカーなどで、商品開発やマーケティングに携わってきたメンバーたちが集まり、2018年11月に立ち上げられた。化粧品ビジネスに携わるなかで「ユーザーが本当に効果を実感して、使い続けたいと思えるものをつくりたい」という思いが、立ち上げのきっかけだったという。

「ACPは、お客さまに確実な手応えを感じていただくために、常に“効果”を追求しています。パッケージや広告などのブランドイメージづくりの施策の優先順位を下げ、成分や機能といった効果に関わる部分にコストも労力も投下。アジャイル開発を導入したのも、生活者のニーズが次々に変化していく時代に、常に“効果がある”と言い続けられるようにするためです。従来のような、よい意味で“変わらないブランド”をつくるのではなく、アジャイルに変わっていくプロジェクトのようなブランドにしたいと考え、『アジャイル・コスメティクス・プロジェクト』という名前を付けました」とプロジェクトの代表を務める山中沙紀氏は話す。

ただ、アップデートし続けるといっても、ブランドとして、ユーザーに約束している根幹の部分は変わらないという。

「肌が荒れていたり、調子が悪くなったりすると、どうしても気分が落ち込んでしまうものです。そこで、ACPは肌に関するストレスや懸念をすべて排除し、お客さまの人生そのものをより前向きで快適なものにすることを目指し、効果を追求する商品のアップデートを続けています」。

ブランドを代表する商品である『白いオイル』は1本で乳液やクリーム、美容液すべての機能を兼ね備えている。そのため、基本洗顔後は化粧水と『白いオイル』の2ステップで、保湿や美白効果などの納得できる効果を得ることができ、時短にもなる。

ユーザーには直感的に伝わるコミュニケーションが重要

スキンケア商品は、ただでさえ種類が多く、商品について調べたり、情報収集をするだけでも...

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