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米国広告マーケティング事情

総広告費10億ドルの「マーチマッドネス」とは?熱狂するアメリカ人と広告主

松本泰輔

NCAA(全米大学体育協会)男子バスケットボール選手権は、秋からの予選リーグ戦で選抜された68校による3月のトーナメントである。日本で言う「夏の甲子園」のような熱狂ぶりから“マーチマッドネス(3月の熱狂)”と呼ばれており、大手企業によるマーケティング活動も3週間にわたり盛況となる。

2020年はコロナ禍により大会はキャンセルされ、2021年は観客25%など規模を縮小されたが、今年は3年ぶりに従来通りの開催となり、全米の熱狂が帰ってきた。“ファイナル4”と呼ばれる準決勝と決勝は、30秒CMが200万ドル(2億5千万円)の値が付き、放送権を持つCBSとターナー・メディアは3週間分の広告枠を早々に完売した。こうしてマーチマッドネスは、総広告費10億ドル(1250億円)の一大イベントに成長している。

AT&T:引退する名コーチ・フットボール選手・俳優出演CM

2022マーチマッドネス&ファイナル4の公式パートナーAT&Tは、複数の著名人を起用したCMを制作した。なかでも話題の中心となっているのが、大会後の引退を表明している名門デューク大の“コーチK”ことマイク・シャシェフスキーのCM。内容は、AT&T店員募集の面接に来たコーチKが「業界未経験だが、長年チームの監督をやってきたので自信がある」と面接官に述べる。しかし「3月は(マーチマッドネスで)働けない」と告げると、断る時の常套文句である「結果は追ってお知らせします」と言われ、百戦錬磨のコーチが焦る、というもの。

その他にも俳優のゾーイ・デシャネル、ロザリオ・ドーソン、クメイル・ナンジアニ、スポーツ界からNBAラメロ・ボール、NFLマシュー・スタフォードなど豪華なメンバーが、面接で悪戦苦闘するCMが好評だった。

(1)AT&T

バスケコーチ、NFL選手、女優などあらゆる人材がAT&Tショップの面接に現れるユーモアあふれるCM。同社の架空店員、リリーがマーチマッドネス期間中不在のため、臨時で人を雇うという設定。またマーチマッドネス公式パートナーとして、会場近くの野外でミュージックフェスを主催した。

ウエンディーズ:NBAレジェンドのCMで半額訴求

2017年からトーナメントスポンサーになっているウエンディーズは、新しい朝食セットを訴求するキャンペーンを展開した。30秒CMでは「マーチマッドネスは毎年ウエンディーズで見る」というNBAレジェンドのレジー・ミラーが来店し、店でくつろいでいる。そこへ店員が現れ「でもレジーはアプリから朝食セットをオーダーすると半額になることを知らない」と笑うという内容だ。

最後に「マーチマッドネス公式朝食セットを、アプリから半額で」のタグラインで終わる。同社CMOカール・ロリード氏は...

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