3月10日、第59回「宣伝会議賞」が幕を閉じました。感動の贈賞式から1カ月が経過した今、グランプリを受賞した宮崎響さんは何を考えているのでしょうか。贈賞式では語れなかった「宣伝会議賞」にかける20年分の想いを聞きました。
ビジュアルが蛇足になるほどインパクトのあるコピーが必要
──「宣伝会議賞」には、いつから応募をしていますか。
ちょうど『SKAT.1』が発売されたときだったので約20年前ですね。もともと広告が好きだったこともあり、学生時代から「宣伝会議賞」には応募していました。一番初めの挑戦は15本程出して、1次審査1本通過という成績でした。
現在は新卒でグラフィックデザイナーとして入社した広告会社に勤務しています。なので、どちらかというと「コピーライティング」より「アートディレクション」のほうが専門分野です。もともと、言葉に頼らないワンビジュアルで伝わる広告が好きでこの業界に飛び込んだ経緯もあり、社会人になってからは「宣伝会議賞」から遠ざかっていました。
──なぜ、「宣伝会議賞」やコピーライティングへの熱が再来したのでしょうか?
実務としてクライアントの広告・ブランディングに関わる中で、アートだけではなくコピーも含めたトータルディレクションができるようになりたいと考えるようになっていきました。そこでもう一度コピーライティングを勉強し直したところ、コピー熱が再燃しました。
その後、実務でもコピーライティングとアートディレクションをどちらも行うようになったのですが、なぜか「宣伝会議賞」は高嶺の花のままだったんです。グランプリを受賞する以前の最高成績は3次通過。その壁の高さを痛感していましたね。
──実務で書くコピーと、「宣伝会議賞」で受賞しているコピーには違いがあるということなのですね。
世の中にある広告の多くは、アートとコピーの2つの要素で構成されていますよね。アートとコピーが互いに引き立て合ってこそ、バランスのとれた広告だと思います。
でも、「宣伝会議賞」はコピーだけの勝負。ビジュアルが蛇足になるくらいでなければならないのかな、と。アートに頼る必要のない描写力のあるコピーが、きっと「宣伝会議賞」には必要なんだと思いますね。