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マーケティング部門の組織体制と人材育成

プロダクトと市場の解像度を上げる、パイオニアの組織戦略

井上慎也氏(パイオニア)

スピーカーやステレオといった、音響機器メーカーの雄として名高いパイオニア。同社は近年、モビリティ領域に大きく舵を切って黒字化を果たしている。新商品「NP1(エヌピーワン)」の開発環境を例に、パイオニアのデータ利活用の実態、そして新領域に挑むための組織づくりについて、CMOの井上慎也氏に話を聞いた。

ソリューションサービス企業へ変革 コミュニケーションによる価値共創

2019年にファンドより出資を受けたことを機に、パイオニアは車載事業で培ったビッグデータや音響領域などの強みを生かしモビリティ領域へと大胆なシフトチェンジを図るべく、“未来の移動体験を創ります”という新たなビジョンを掲げた。

メーカーからソリューションサービス企業へと変革を進める同社が、2022年3月に満を持して発売したのが次世代型の車載機器「NP1」だ。カーナビ、ドライブレコーダー、クルマWi-Fiといった機能をオールインワンで搭載。特長として、声で操作・案内をする音声ナビや次世代通信型のドライブレコーダーなど、『音声と通信』でドライブ環境を革新すること、そして購入後もサービスや機能が拡張できる『成長するプロダクト』であることがあげられる。

「今日では、車載機器やクルマはもちろん、スマートフォンの進化も伴って、車内でできることはどんどん増えてきています。しかし、運転中に接触する情報量が増大したために注意力が削がれ、事故のリスクも増してきているといえる。NP1は、そんなリスクを減らしつつ、車内時間のオポチュニティ(可能性)の拡大を実現する、そのためのプラットフォームです。また、パイオニアが開発した『モビリティAIプラットフォーム Piomatix(パイオマティクス)』と呼ばれる技術基盤を搭載。各種センサーから受け取ったデータや過去の使用履歴をもとに、お客さまが現在どこで運転しているのか、それはドライブなのか、通勤なのか、現在の運転の負担度はどのくらいなのか、そういったことを分析して、最適な情報を最適なタイミングでお届けできるようにしています」。

例えば、カーブを曲がる際にはハンドル操作に集中する必要がある。その時に判断が必要な情報を映像や音声で提供されると、ドライバーの注意力は削がれてしまう。NP1は運転状況を把握するため様々なデータを収集分析し、直線に入った瞬間などのひと息つけるタイミングまで、基本的にはアクションを行わない。

NP1の開発において、マーケティングの基本に立ち戻ったと井上氏は話す。

「我々の思う『良いモノ』ではなく、どのようなお客さまに対して、どういった価値が受け入れられるのかを探求。“仮説”をもとに“仮設”し、発売後もアジャイル型で検証・修正を行います。...

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