自分の好みが案外わからない お菓子選びと靴下選びで考える
マーケターは消費者の好みを引き出そうとして「消費者の声に耳を傾けることが重要」とよく言われる。一方「消費者の好みは多様であって移ろいやすい」という声も聞かれる。
経済学では消費者の嗜好(好み)はどんな状況でも一貫していて時間がたっても変わらないと考えられている。では、はたして消費者の声を聞いたら消費者の好みはちゃんとわかるのだろうか。
そんな問いが生まれるのは、私たちの好みはそれほど一貫しているとは言えず、そもそも自分自身の好みがちゃんとわかっているのだろうかという疑問すら湧くからだ。これは意外に聞こえるかもしれない。自分の好みがわからないはずはないと。しかし、好みなんて結構いいかげんで、その時の情報や状況次第で大きく変わってしまうことがある。
たとえば、決めるタイミングと消費するタイミングが異なると、決める時点での感情や生理状態が決め方に影響を及ぼし、実際の消費の時点でどんな好みがあるのかがわからなくなってしまうことがある。
特に食欲・性欲などがホットな状態にある時には、クールな状態の時の自分の好みに対する予測がつかないことがある。決める時に空腹なら夕食にはたくさん食べると予想するし、逆もある。空腹で...
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