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「テレビ」というデバイスでの視聴行動

地上波のネット同時配信やオリジナル番組 テレビネット配信2022年の動き

船津宏輝氏(情報通信総合研究所)

生活者のインターネット動画視聴が急速に増加する中で、各放送局にも地上波のネット同時配信など、ネットを活用したさまざまな動きが見られている。情報通信総合研究所の船津宏輝氏が、現状のレポートと今後の動向を予測する。

コロナ禍で加速した 視聴者のネット動画視聴

これまで放送メディア業界の中心であった放送局は、VODの活用やTVerによる見逃し配信などのネット活用を進めてきましたが、2020年以降NHKと在京キー局が中心となって、地上波のネット同時配信にも取り組んでいます。一方、コロナ禍で視聴者のネット動画視聴時間は増え、NetflixやAmazon Prime Videoといったインターネット動画配信サービスは、より視聴者に身近なサービスになりつつあります。

本稿では押し寄せるインターネットの波が放送局に与える影響や、放送局の対応について解説。今後の放送メディア業界の動向を考察します。

コロナ禍での人々のライフスタイルの変化は放送メディア業界にも影響を与えています。視聴者はコロナ禍で増えた余暇時間を地上波でなく、ネット動画の視聴に使う傾向があり、この傾向は特に若年層で顕著です。また、コンテンツ視聴に使われるデバイスにも変化が見られます。

TVerによると、2019年10月には映像コンテンツの再生に使われたデバイスの78%がスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスで、CTV(コネクテッドTV)は6%であったのに対して、2021年3月にはスマートデバイスが68%になり、CTVは20%まで増えています。使用される主なデバイスがスマートデバイスであることは変わりませんが、コロナ禍を経てCTVの存在感が大きくなっています。また、テレビのインターネット接続率も年々増えており、テレビ上での映像コンテンツ消費が増加する要因のひとつとなっています。

国内の広告費と動画配信サービスの現状

2022年2月末に電通の「2021年日本の広告費」が発表されました。

2019年にテレビ広告費を超え、話題になったインターネット広告費は2兆7,052億円(前年比121.4%)と、これまで同様に増加。成長するインターネット広告費の中でも注目は、CTVなどへの広告配信から収益を得る「テレビメディア関連動画広告費」で、前年比146.5%という驚異的な成長率となっています。ここからも、視聴者のテレビ上でのネット動画視聴が増え、事業者もそこに注目し始めていると言えます。

国内では海外OTT(Over The Top)企業の動画配信サービスの成長が著しく、NetflixやAmazon Prime Videoといった定額制動画配信サービスやYouTubeなどの広告型動画配信サービスの人気が高まっています。これらの...

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