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メタバースとマーケティング

始める前に知っておきたい、メタバースにおける権利問題

岡本 健太郎氏(骨董通り法律事務所 弁護士)

企業が続々と活用を進めるメタバース。仮想空間上に店舗を出店したり、実在する都市を再現する空間が生まれているが、気がかりなのが権利問題だ。「ブランドのロゴが無断で使用されたら?」「自社商品がユーザーに複製されたら?」マーケターやクリエイターが事前に知っておきたいメタバースにおける権利問題について、『宣伝会議』で連載をもつ弁護士の岡本健太郎氏が解説する。

メタバース上の権利問題 キーワードは「現実世界との関係性」

ビジネスの世界でも注目を集めているメタバース。その特徴のひとつに、“仮想空間上の生活圏”といった側面があります。オフィスワーク、ショッピング、ファッション、エンターテインメントなどの様々な分野で利用が広がり、広告やマーケティングの手段にもなっていることはご存じの通り。まさに現実世界とは別の生活圏がそこには存在しています。

しかし、メタバースには他のオンラインサービスと同様に、契約、消費者、個人情報などに関する様々な法律が関係していることを理解しているでしょうか。ここでは、メタバースに特徴的な権利問題として、①建築物、②アイテム、③ロゴマーク、④アバターを取り上げます。

キーワードは「現実世界との関係性」。メタバース上では、現実世界のデザインを再現する場合には、現実世界のデザインやその権利との関係性が問題となるのです。

①建築物
境界線は「オリジナル」or「複製」

メタバースにおいて、ユーザーに没入感を与えるには、建築物やそれを取り巻く空間が重要です。あえて非現実的な仮想空間を描くものもあれば、渋谷区公認の「バーチャル渋谷」など、現実の建築物をメタバース上に再現することもあります。

メタバース用にデザインされた建築物は、アニメやゲームの建築物と同様といえます。オリジナルのデザインであれば、著作権侵害にはなりませんが、他のアニメやゲームの建築物など、他人の著作物をメタバース上で複製、または模倣した場合には、著作権侵害となり得ます。

一方、現実世界では、ある程度特徴的な建築物のみが著作権として保護されます。例えば、国会議事堂、都庁などと言われますが、ただ、仮に建築物が著作物とされても、例外規定(著作権法46条各号)により、建築以外への利用は比較的自由に行えます。つまり現実世界の建築物をメタバース上に再現しても、基本的には著作権侵害にならないのです。

とはいえ、メタバース上で現実世界の建築物を改変すると、著作者の権利(同一性保持権)の侵害となる可能性はあります。また、建築物上の広告、イラストなどには、先の例外規定は及びません。ただ、CG化した風景に広告やイラストが映り込んだ程度であれば、別の例外規定(同法30条の2)により、著作権者の承諾は不要となり得ます。

②アイテム
基本の考え方は建築物と同じ

メタバース上では、アバターが着用する服や靴をはじめ、グッズ、家具...

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