「クリエイティブ・ディレクション」の極意
☑オリエンで大切なのはフォーマットではない。洗いざらい生の言葉で語ること。
☑広告主の熱い心は見せた方が良く、スタッフの心にも火をつける。
☑撮影現場では、広告主も撮影される内容に執着を!
広告主のCreativeDirection その大前提となるものとは?
「ADプランナー・ディレクターの力の発揮に広告主は汗をかきましょう!」というタイトルから、よい広告をつくるには、ADプランナーを自由にすればいいのか?と思われた方もいると思います。しかし、それは大きな誤解です。むしろ、広告主は徹底的にCreative Directionをしてくださいという意味です。
広告に対する捉え方が、「広く告げること」を目指す広告会社と、「販売・イメージ向上のための武器・手段」と考える広告主とでは、根本的に広告に対する考え方、期待値が異なっています。
広告主が目標達成をできるか否かについて、広告会社が保証してくれるわけではありません。なぜなら広告会社の仕事のすべてが、広告主の判断の基にあるからです。
つまり、広告主は広告のことを広告会社にすべて任せるのではなく、広告に対する向き合い方が違うからこそ、深く話し合うべきですし、その中で共有点を見出しながら広告会社の機能を生かし、一緒につくり上げることが大前提にならなければなりません。
では、企画・制作プロセスに則りながらお話しします。
Planner・Designerは皆さんと同じ人間です
広告宣伝担当者・マーケターは、広告会社のプランナーなどクリエイターを特別視する傾向があるように思います。それは、多くの担当者・マーケターは学歴も含めて“クリエイティブ”という領域に縁の遠い生活を送ってきたことから、どうしても苦手意識が働きやすいのだと思います。
しかし、まったく気にする必要はありません。クリエイターも赤ちゃんを見れば、思わず笑顔になりますし、怖い目に遭えば「ビックリした」と言い、皆さんと感覚的にまったく変わることがありません。ただし課題に対してどのように伝えたら良いのか考え、表現に変えるプロだということだけです。もし、打ち合わせの場で違和感を持ったら気軽に質問してください。議論の始まりになります。
オリエンテーションは重要 でも正しい形があるわけではない
多くの宣伝担当者は“オリエンテーション”が重要と言います。そのやり方などはHow to本で目にすることができますが、どの方法が一番優れているのでしょうか?
ある優れた広告をしている企業の担当者から聞いたのですが、時によっては“オリエンシートがない場合がある”と言っていました。私もこの意見に同感で、オリエンという場や、オリエンのフォーマットが大事なわけではないのです。
大切なのは何の課題に悩んでいて、どうしたいのか?を明快に語れることです。また、その課題を自分はどのように捉え、課題を取り巻く環境はどうで、どのようになりたいのか、洗いざらい生の言葉で語るのが一番良いと考えています。決して綺麗な言葉で語る必要はありません。広告会社のプランナーは、意外と冷静に聞いています。
なぜなら、広告主のイメージは誰もが商品や広告から感じるモノと同じで、何に悩んでいるかなんて何も知らないのです。ですから、広告主のコトを知れば知るほど、知らなかった驚きもあれば感動もあり、さらに広告主のダメさ加減も見えてきます。
つまりクリエイター魂(私も含め、人に喜んでもらうコトにすぐ身を投じる姿勢です)がくすぐられるのです。商品・サービスの自慢話ではなく恥ずかしいぐらいに赤裸々に語ることは、プランナーの心を動かします。プランナーが自ら何とかしたくなるのです。これ、できていますか?
企画プレゼン、判断するポイントとは?
広告担当者が、何回かドキドキする仕事のひとつに企画プレゼンの場があります。多くの企業の決定者は、どのように判断しているのでしょうか?
よくプレゼン時に見かけることとして、事業部長がプランナーの説明も聞かずどんどんページをめくりコンテを眺めるというシーンを、私自身も何度も経験しました。あ〜っ、コンテを見て安心したかったんだな〜と推察していたのですが、説明を聞かずにコンテを見る。それはそれで一理あります。しかしコンテの絵に惑わされる場合があります。絵コンテは読み取りに技術が必要だからです。
それでは資料を見ずにプレゼンに耳だけ傾ければいいのでしょうか。これはこれで、プランナーの饒舌な時間を掛けた説明に魅了されて15秒という時間感覚を忘れてしまいミスを起こすことがあります。
私の立場はと言うと、プレゼン前にプランナーと一緒に企画をつくり上げているので、正式プレゼン時は全部知っている状態です。でも、さすがに初めてコンテを見る時は、自宅にいてテレビを見ている環境を想定して、ボサ〜ッとして集中しないで見たり聞いたりします。その後、何が頭に残ったかを振り返り、企画の改善をしていました。集中してプレゼンを聞くと全部理解できます。しかし、そこでお客さまとの広告の接し方が異なってしまいます。
他企業の部長さんから、企画プレゼンで決定したら、「後はよろしくね!」といって、お任せするという話を聞いたことがあります。これはその企業と広告会社の信頼関係が、強いんだなと思いました。しかし、その後、広告会社から制作会社へ仕事が...