「宣伝会議賞」の応募者が目指すのは、もちろんグランプリの受賞。しかしグランプリをはじめとする各賞とまた別の視点で評価され、異なる魅力を発揮するのが協賛企業賞の受賞作品です。「グランプリと協賛企業賞で求められるコピーの違いは?」「『宣伝会議賞』“らしさ”とは?」ここでは、そんな編集部からの疑問を第33回のグランプリ受賞者であり、現在は審査員も務める石田文子氏に聞いてみました。
クライアントには出しにくい(笑)
私がグランプリを受賞したのは、東京ガスの床暖房についての課題。「家に帰ると、母が倒れていた。」というコピーでした。
ちょっとドキッとしますよね(笑)。一見、ネガティブなシーンですから。
すぐに床暖房のコピーだと気づいてもらえれば「なるほどね」と笑ってくれる方もいると思います。一方で、ネガな感情を持たれて、企業のイメージを崩してしまうことがないとは言いきれません。ですから実際の仕事だったら提案しないコピーかも、と思いながら応募しました。当時の審査員の方からも「これ、クライアントには出せないよね(笑)」と言われたのを覚えています。
なのに、グランプリ。このことや今までの受賞作を見てみると、グランプリに選ばれやすいのは、より“コピーライター目線”と“消費者目線”が強いもの。時代に合った面白さがあったり、社会に対してこれまでと違う視点を提案していたり、「まだ言葉にしていなかったけど、実は私も思ってた」と半歩先を言い当てて共感される...
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