2021年3月1日のLINEとの経営統合により誕生した「新生・Zホールディングス」。この1年間でグループ内ではどのようなコミュニケーションが行われてきたのか。基盤となる考えや、生まれている成果について話を聞いた。
“求心力”ではなく“遠心力” 互いの違いこそグループの強み
2019年10月に生まれたZホールディングスは、「日本・アジアから世界をリードする、AIテックカンパニーへ」を掲げ、2021年3月1日にLINEと経営統合。これにより、新生・Zホールディングスが誕生した。
Zホールディングスでは、グループのコミュニケーション方針において「“求心力”ではなく、“遠心力”」を掲げている。
「企業の合併や統合といった際、“ひとつのブランド”として統括していく方法もあると思います。しかし、Zホールディングスグループの場合、ヤフー、LINE、ZOZO、アスクル、一休など、独自のカルチャー、異なる事業形態を有する非常に多様な企業が集まっており、そこが強みです。各社の良さをリスペクトし、生かしていくことが大切だと考えました」と、執行役員 広報・IR統括部長を務める伊東由理氏は“遠心力”の方針について説明する。
この方針に基づきグループのコミュニケーション方法を検討するにあたり、「“やること”と“やらないこと”を定めた」と伊東氏。
「やることとしては、『シナジーを創出するサポート』『各社が成長するきっかけの提供』、逆に、『コミュニケーションの領域においては、グループ全体で共通する制度・ルールの制定』は行わないことを決めました。これにより、さらに方針が明確になったと感じます」と話す。
まずは各社についての理解を深めるための活動からスタート。ひとつの基盤としたのは、先行していたヤフーとLINEの、互いを理解する活動。もともとヤフーで人材開発の取り組みとして実施されていた、ひとりの社員に対して複数名がさまざまな角度からフィードバックを提供する「ななめ会議」を活用。「ヤフー」「LINE」というそれぞれの会社に対し、80名ほどの声を集め、「似ているところ」「強み」「異なるところ」などを明らかにし、互いへの理解を深めていた。
同時並行で、2社以外のグループ会社に対しても、「Zホールディングスについてどう思うか」「LINE統合を...