日本コカ・コーラの「紅茶花伝」は1992年に誕生し、2022年に30周年を迎える。紅茶花伝ブランド誕生以前は、同社では「SIMBA(シンバ)」という茶飲料ブランドにて、緑茶、烏龍茶、紅茶などを総合的に扱っていた。しかし、缶飲料の多様化に将来性を見出し、紅茶に特化したブランドを確立することに。そうして生まれたのが紅茶花伝であった。
本格的で上質な紅茶を気軽に飲んでもらいたいとの思いのもと立ち上げられた紅茶花伝だが、競合も紅茶飲料市場に参入するなか、差別化ポイントの訴求は難しく、大きな話題をつくることができずにいたという。
転機となったのは工場での牛乳受け入れ設備の完成を機に1995年に発売した「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」だったとマーケティング本部 止渇系無糖茶・機能性茶・紅茶事業部部長の山腰欣吾氏は話す。
「その頃の缶飲料市場の紅茶は350mlが主流。容量にあわせた、さらっと飲みやすい製品が多い印象でした。そこで、新発売の『ロイヤルミルクティー』は、あえて容量を280mlとし、ミルクは粉乳などを使わず100%牛乳を使用することで、まろやかで高級感あふれる味わいと口当たりを目指しました」(山腰氏)。
当時、紅茶飲料にあまり親しみのなかった若年層をメインターゲットに訴求したところ、1995年〜2000年にかけて売上は大きく伸長。「紅茶花伝=ロイヤルミルクティー」というイメージが定着したという。
現在、紅茶花伝では「ロイヤルミルクティー」と2018年に発売したフルーツティーシリーズ「クラフティー」に2021年発売の「無糖ストレートティー」を加え、“マスターブランド戦略”を推進している。
2022年は年間を通して、周年を盛り上げる施策を実施予定。30年間こだわり続けてきた「厳選素材とおいしいひと手間」を軸に、コミュニケーションを図っていく。
視点01 商品・ラインナップ
“ブランド”で選ばれることを目指す「マスターブランド戦略」
「ダージリンティー」「ミルクティー」「レモンティー」の3種で誕生し、1995年の「ロイヤルミルクティー」発売によりブランドイメージを確立した紅茶花伝だが、ミルクティーだけではない“総合紅茶ブランド”となるという強い思いを持ち続けていた。
その構想の第一歩となったのが、2018年の「紅茶花伝 クラフティー」シリーズの発売。当時はカフェなどで紅茶メニューが拡大しており、フルーツティーも見られていたが、ペットボトルの定番品はまだ少なかった。そこで“紅茶に100%果汁を注ぐ”というコンセプトでラインナップに加わった。
そして2021年、「紅茶花伝 無糖ストレートティー」を発売。主要ラインナップ5製品のパッケージデザインを...