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生活者に寄り添う広告・コミュニケーション戦略

データを用いて生活者のインサイトに迫り心を動かすコミュニケーションを目指す

大村和顕氏(ライオン)

BtoBtoCモデルの企業として、オウンドメディア「Lidea(リディア)」などを開設し、生活者のインサイトに迫る取り組みを進めてきたライオン。同社ではデータを用いて、顧客理解をどのように進めているのか、大村和顕氏に話を聞いた。

「Lidea」にコメント欄を追加 仮説検証の精度が高まった

2019年に本部組織であるビジネス開発センターを設置し、その傘下にエクスペリエンスデザイン、クリエティブデザイン、ビジネスインキュベーションなどの部組織を新設する組織改正を行ったライオン。

それに先立つ2017年には宣伝部門の機能を再編して、コミュニケーションデザイン部に改称。当時は、その傘下にCXプランニング室が設置されていた。こうしたライオンのコミュニケーション領域の組織の変遷は、メーカーでありながら顧客にとっての体験を重視する経営の意思が感じられる。

そんな同社において、「広告」にとどまらず、顧客基点の体験づくりに挑むのがビジネス開発センターエクスペリエンスデザイン部長の大村和顕氏だ。同氏は「私たちの部署では各ブランド事業部とともに、マーケティング戦略の企画・実行を担っている」と話す。

流通を介して顧客と接する、BtoBtoCモデルのライオン。なおかつ同社が扱う日雑カテゴリーはコモディティ化が進む市場だ。いかにして直接接点を持ちづらい顧客を理解し、さらにその理解から、これまでにない価値や体験を創出するかが大きなテーマとなる。

そこでここ数年、大村氏は「生活者理解のためのデータ基盤の整備を進めてきた」という。例えば、2014年から開始した生活情報を提供するオウンドメディア「Lidea」も重要な生活者との接点のひとつ。これまで複数サイト内に散在していた生活情報関連のコンテンツを整理・集約し、ユーザーとインタラクティブな関係をつくること。さらに、ここで得られるデータを基点に、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を構築する目的で運営を開始した。

オウンドメディアの「Lidea」で発信されるコンテンツを介して、ユーザーの興味・関心やコンテンツを通じての態度変容も把握することができる。ライオンでは、こうして得られた1stPartyデータと、購買データなどを紐づけることで、生活者の行動を把握。オフラインも含めたマーケティング戦略の精度向上に活用してきた。

「当社の商品を購入してくださったお客さまが、どのような記事に興味を持ち、さらに記事に対してアクションをしてくださっていたのか。それがわかると、どういうタイミングでどのような記事に触れると最終的に購入にまで至ってくださるのか、仮説が見えてくる」と大村氏。

2021年には「Lidea」の会員に対し、アクション履歴に基づいた嗜好など様々なタグ付けを実施。「どのセグメントに対して、どのようなメッセージを届ければ、我々が目指す態度変容が最大化するのか実験・検証を開始した」という。

また、「Lidea」では2021年6月に記事に「いいね」やコメントを書ける機能を追加。より多くの人々が...

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