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生活者に寄り添う広告・コミュニケーション戦略

顧客視点の「ジョブ」でマーケティングプランを策定

富岡広通氏(パナソニック)

2022年に創業104周年を迎え、今年4月からは持株会社制に移行するパナソニック。同社内で、データを活用したマーケティング活動を推進する富岡広通氏に、メーカーにおけるこれからのデータ活用の展望を聞いた。

データの利活用に欠かせないのはマーケティングに対する理解

2022年4月には持株会社制への移行が予定されているパナソニックでは、来たるべき新体制に向けて事業の再編が進められてきた。

富岡広通氏が属するパナソニック株式会社は4月以降、ホームアプライアンス事業、空調・空質事業、電気設備事業などの領域を軸に、「パナソニック株式会社」として活動をしていくことになる。家電だけでなく、住宅環境全体に広がってきたパナソニックのコンシューマー向け事業において、部門横断で新たな“くらし”における価値提供を行っていくのに際し、データの利活用は戦略の肝になる部分である。

現在、コンシューマーマーケティングジャパン本部コミュニケーション部に属する富岡広通氏は、同本部にCDPを導入するプロジェクトを推進。そこから、仕事の領域は広がっている。

現在は、大きく分けて3つの領域を担当しているという富岡氏。3年ほど担当している宣伝の仕事、さらに新組織である「エンゲージメントセンター」でのミッション、加えて事業再編に伴い組織を横断した未来志向の複数のプロジェクトへの参加だ。

「宣伝の仕事では、データを活用した広告投資の最適化に始まり、最近では個々のプロダクト別に、UX起点のマーケティングプランづくりに携わっている」と富岡氏。同氏がつくっているのは、“ジョブ・フロー”のようなもの。企業が設定する機能価値ではなく、顧客が欲するベネフィットを導き出し、そのベネフィットに気づきを得てもらうための態度変容のプロセスを、データをもとにモデル化することを目指している。こうした知見をもとに各カテゴリー担当のマーケティング活動を支援している。

2つ目の「エンゲージメントセンター」は新しく発足した組織だ。広告とは異なる文脈で、パナソニックと生活者の間にある顧客体験をどのように最適化するか、という大きなテーマに向き合っている。

しかし前述のように、パナソニックは家電にとどまらず、“くらし”全体を支援する事業体へと変化を遂げている。加えてIoT家電など、買った後もつながる関係がつくれる今、同社にとってのUXの範囲は広がり続けている。それゆえ、UXに関わる社内部門も多岐にわたる。

関係者のベクトルを合わせるのが難しい状況だが、富岡氏は「逆にこうした状況が、データをもとにした顧客理解、さらにその基盤となるマーケティングに対する理解が社内に浸透するきっかけになるのでは」と期待を見せる。常々、データの活用に際しては、マーケティングの本質に対する理解が欠かせないと考えてきた富岡氏。複数部門が関わることで社内におけるマーケティング意識の浸透につながっている現在の状況を歓迎しているのだという。

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