コロナ禍での生活様式の変化に伴い、生活者の買い物への意識はどのように変化したのか。インテージのアナリストが独自の調査データをもとに現在の消費行動の傾向を解説する。
節約意識に原料費高騰 変化する生活者の“お金”意識
「失われた〇年」と表現される状態が長く続く日本。賃金が上がらないことに加え、新型コロナなどの影響による原料費高騰に伴う値上げや、先行き不安による節約意識の高まりなど、生活者の“お金”に関する環境は不安定な状態が続いています。
この環境下において、普段の生活で必要な消費財(食品や飲料、日用雑貨品)の買い物にどのような変化が起きているのか、インテージが保有している意識のトレンドデータと買い物ログデータから探りました。
【図表1】は、消費財の買い物時に魅力的に感じるワードがこの10年弱でどのように変化したかを表しています。魅力に感じる人が特に増えたワードは『コスパ最高』『大容量』といったお得感を示すものと、『No.1』や『定番』といった安心感をアピールするものでした。一方で、お得感とは逆の『贅沢』も増加しており、「メリハリ消費」や「所得・ゆとりの二極化」が進んでいることがうかがえます。
メリハリ消費のひとつの動機として、ご褒美消費が挙げられます。『自分へのご褒美』というワードを魅力に感じる人の割合が、この間どれだけ増えているのかを年代別に見たのが【図表2】です。若年層ほど「自分へのご褒美」に魅力を感じる人の割合が高く、特に10代男性や若年女性で増えています。「日常でのハレ消費への欲求」の高まりや「コロナ禍のストレス」の影響が特に大きくなっているようです。