自動車、家電などの製造業を中心とした海外進出で成功体験を持つ日本企業。いま、海外に進出する企業の業態も多岐にわたっている。日本の企業がグローバル展開する際のマーケティングの課題とは何か?そしてその解決の道筋とは?サンリオの木村真琴氏がリーダーを務めてディスカッションを重ねてきた。


サンリオ
CMO
マーケティング本部長
木村 真琴氏

VAIO
コンシューマー営業本部
本部長
花里 隆志氏

森永乳業
海外事業本部
海外事業企画部 部長
寺田 文明氏

ヤマハ
執行役員
ブランド戦略本部 本部長
兼 マーケティング統括部長
大村 寛子氏
木村:私たちのチームでは日本の企業がグローバル市場に進出していく際のマーケティング戦略の課題とその解決の方向性について、各社の取り組みをもとにディスカッションを重ねてきました。日本市場で成功体験を持っていても、それが海外の市場で通用するとは限りません。国によって市場環境はもちろん、ブランドのポジショニングも異なる中で、どう戦略を組み立てていけばよいのか。本日は残念ながら欠席ですがヤマハの大村さんも入り4名で半年にわたり議論を重ねてきました。
まず私が所属するサンリオの取り組みから紹介します。当社はハローキティを中心に事業を展開し、2000年頃に米国を中心に著名セレブリティにハローキティが支持され、海外でのライセンス売上が全社の売上、利益を牽引するという時期もありました。ただ海外市場における課題は、“デザイン”という側面でキャラクターが捉えられている点。日本と異なり、背後にある世界観といったところまでは理解が進んでいないことを課題に感じています。次にVAIOの花里さんから取り組みを紹介いただけますか。
花里:私たちVAIOは2014年6月末でソニーでのビジネスを終了し、翌月に別会社を設立して事業展開を進めてきました。ソニー時代は全世界80カ国以上で事業展開していましたが、別会社設立に合わせて、こちらの活動も一時ストップ。しかし海外にもVAIOの熱烈なファンの方がいて、現在は23カ国で展開するに至っています。
国外においても、輝きを失ってはいないブランドの力を実感しましたが、人的リソースが豊富な会社ではないので、展開の仕方は工夫が必要だと考えています。そこで現在は各地域のPCメーカーにライセンス提供する形もとっています。
ただ米国などは、私たちが製造した商品を直接販売していますし、地域に合わせてハイブリッド型の展開をしています。
木村:ここでヤマハのケースを今日は大村さんに代わって私から紹介します。ヤマハさんは参加メンバーのなかで最も古い60年前から海外進出しており、現在30カ国で展開。各地で特約店と契約し...