広告マーケティングの専門メディア

           

REPORT

インサイトに迫るマーケターが考えるソーシャルの取り組み

「CMO CLUB FORUM」レポート

社会課題が山積する世界において、企業の課題解決に対する取り組みへの期待は高まるばかりだ。しかし、継続的な企業活動にしていくためには、収益も見る必要がある。社会課題を解決しながら、自社の事業成長にもつなげるような取り組みは実現するのか。4名のマーケターが議論した。

(左から)
ライオン
サステナビリティ推進部
部長
小和田 みどり氏

アサヒコ
代表取締役
矢野 健一

ウェルカム(DEAN & DELUCA)
ディーン&デルーカ事業部
マーケティングディレクター
菅野 幸子氏

FWD生命保険
執行役員 CMO
立川 麻理氏


※所属組織、職名は2021年11月の登壇当時のものです。

小和田:私たちのチームでは社会課題解決と事業成長の両立をいかに実現するかという観点で議論を重ねてきました。私自身は経営やマーケティングコミュニケーション、宣伝といった仕事を経験して、現在のサステナビリティ推進部の職につき、この難しいテーマにマーケターが貢献できることがあるのではないかと考えています。マーケターが重視する顧客満足と社会課題解決の関係性を図にまとめてもらっていますので、まず矢野さんからその説明をお願いしたいと思います。

矢野:多くの企業で社会課題解決への貢献を模索していると思いますが、例えばレジ袋やプラスチックストローの廃止などは、環境負荷低減には貢献しますが、顧客体験という観点でいえば満足度は下がる。それは事業成長の足かせになる可能性があります。一方で在庫のアウトレットセールなどは顧客満足にも貢献するので、すぐにやるべき取り組みだと言えます。難しいのが、取り組むことで顧客満足が下がる領域と言えると思います【図1】。

図1 社会課題の6つのアウトカムタイプと事例

小和田:ありがとうございます。こうした問題意識を前提にして、各社の取り組みを紹介してもらえますか。

矢野:食品メーカーである当社の場合は、フードロスの問題への取り組みに注力しています。小売店におけるフードロス解消の取り組みもありますが、メーカーとして製造工程におけるロスの低減の取り組みを紹介します。

当社では油揚げを刻んだ「きざみ揚げ」という商品を販売。実は、この商品は製造工程で発生する形が欠けてしまうなどして廃棄していた油揚げを刻むことで、商品として世に出しているもので、こうした製造の経緯から価格を安く設定しています。味噌汁に使用する際などに便利ということで売れ行きが好調すぎて、使用する規格外商品が足りなくなっているほどです。

菅野:DEAN&DELUCAなどを...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

REPORT の記事一覧

日本企業のグローバル進出におけるマーケティング戦略
インサイトに迫るマーケターが考えるソーシャルの取り組み(この記事です)
ラグジュアリーブランドが提供すべき価値とは何か?
市場創造こそがマーケティングの本質 石井淳蔵氏×音部大輔氏対談
働く人の意識変化に対して、マーケターができることとは?
MVVの謎を解き明かし、組織運営に生かすには?
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する