東洋水産のカップラーメンブランド「麺づくり」は1992年に発売を開始し、今年で30周年を迎える。
発売当時は、即席麺に対する消費者のニーズが変化していた時代。従来の簡便性から、味を重視した本物志向へ移行しつつあった。
同社はこうしたニーズに応えるため、即席麺でありながら“生麺”感覚のおいしさを追求したノンフライ即席麺として「麺づくり」を誕生させた。ノンフライ麺とは、油で揚げず、熱風を用いて時間をかけて乾燥させることでつくられた麺。これにより、しっとりとしたなめらかな食感に仕上げることができるという。
同社には「麺づくり」以前にもノンフライ麺を採用したブランドが存在していたが、「麺づくり」では“低温長時間乾燥製法”という独自の製法によって、より“生麺”に近い感覚を追求。発売時のテレビCMやパッケージでも「特製なま味仕立て」というワードで訴求されており、“生麺”感覚にこだわった点が前面に出されている。
こうして誕生した「麺づくり」であったが、当初は“売れてはいるが、ヒットとまでは言えない”立ち位置のブランドであったという。転機が訪れたのは2000年。より本物志向のラーメンを目指して麺を改良。
スープとの相性を考慮し、フレーバーごとに異なる“形”と“太さ”の麺を用いたところ、一気に同社のヒット商品となった。
「麺づくり」では毎年と言っても過言ではないペースで麺やスープのリニューアルを実施。これは時代ごとに求められる味に応えるためであると東洋水産 加工食品部の京田友里香氏は話す。
「当社のお客様相談室に寄せられる声の中でも、『麺づくり』は他のブランドと比較して、多くの声が集まっています。お客様の期待を裏切らないよう、今後もブランドを成長させていきたい」と話した。
視点01 商品・ラインアップ
“王道”フレーバーを軸に、麺とスープをマッチング
ブランドのコンセプトとして“家族みんなに愛される王道ラーメン”を掲げ、「しょうゆ」と「みそ」という王道の2フレーバーで誕生した「麺づくり」。現在も「鶏ガラ醤油」「合わせ味噌」「旨コク豚骨」「鶏だし塩」「担担麺」「醤油とんこつ」という6種の王道フレーバーを軸にしつつ、トレンドや季節に沿った特徴的な期間限定商品も販売している。
「2020年4月に発売した『旨辛 鶏白湯』と『旨辛 酸辣湯麺』は、コロナ禍ということもありましたが、辛みのあるフレーバーが女性にヒットし話題になりました」と京田氏。
2011年以降は受験シーズンになると、受験生の夜食ニーズを想定し、パッケージに...