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2022年は『テレデジ元年』 急拡大するCTV市場にどう挑む?

SMN

コロナ禍を背景に、コネクテッドTV(以下CTV)が世界的に普及している。SMNが提供する「Connected TV Data Bridge」(以下「TVBridge)」は、CTVの視聴データを起点とした広告配信を実現する、データ活用サービスだ。執行役員の谷本秀吉氏に、今後の展望を聞いた。

国内最大級のテレビ視聴データをブランディングに生かす

SMNが2020年9月から提供している「TVBridge」は、国内大手テレビメーカー4社がユーザーから個人は非特定で広告用途への利用を許諾され取得しているテレビ視聴データと、SMNが保有するデジタルメディアの接触データをもとにした広告配信を実現するデータ活用サービスだ。広告配信プラットフォームの「TVBrigde Ads」と、データを統合・分析する「TVBridge DMP」の2種類をラインアップ。様々なターゲット手法を用いて、効果的な広告施策を行うことができる。

同サービスの強みのひとつが、国内最大級のテレビ視聴データを取得していることにある。リリースから約1年、CTVの普及率は上昇し、TVBridgeが取得可能なテレビ台数は500万台から700万台にまで増加した。またこの700万台から利用者の承諾を得た非個人情報を基に、同社独自の推計技術によって同一IPアドレスの複数デバイスをプロファイリング。これにより約2,100万ユニークブラウザに対し、広告配信のセグメントが可能になっている。

導入業種で最も多いのは、ブランディングを目的とした食品や飲料・消費財のメーカーで全体の約38%。すでにテレビCMを出稿している企業が多いという。また、次に多いのがメディア企業で18%。テレビ局が自社番組の宣伝に活用する場合が多いそうだ。

味の素との実証実験により、テレビとWebの補完関係を調査

では実際に、企業はTVBridgeをどのように活用しているのだろうか。

SMNでは2021年10月~2022年3月に、導入企業である味の素と共にテレビCMとWeb広告を掛け合わせた広告効果の可視化について実証実験を行った【図表1】

図表1 テレビCMとWEB広告を掛け合わせた広告効果可視化を検証
■概要
【TVBridge Adsについて】
・配信セグメント:TVCM視聴ユーザー及びTVCM未視聴ユーザー
・配信エリア:全国(47都道府県)
・対象UB数(TVCM視聴ユーザー):約10,000,000UB
・配信期間:約3週間(TVCM放映終了後)
・配信素材:15秒

【ブランドリフトサーベイ】
・目的:TVCM×WEB広告の最適な組み合わせについて
・内容:購入意向調査
・配信期間:約2週間(TVBridge Ads配信終了後)
・配信対象:上図セグメント①〜⑥

このとき、全国のテレビCM視聴ユーザー、および未視聴ユーザーのセグメントに対して「TVBridge Ads」を通してWeb広告を配信。配信対象者に購入意向調査を行い、最適な配信パターンを探ったという。その結果、「テレビCMのみを視聴した」ユーザーに比べて、「テレビCMを視聴かつWeb広告に接触した」ユーザーの方が、最大8.8pt(③−①)、購入している層が多くなった。また接触回数別に象限を分けたところ、③>④>⑥>その他の順で購入意向が高くなったという。

「今回の事例により、従来から言われてきたテレビCMとWeb広告が補完関係にあるということが数字として明らかになりました。広告効果のあるフリークエンシー回数も結果に表れており、予算計画の立案にも役立てられると考えています」(谷本氏)。

CTV広告市場が急拡大 ABEMAとの協業も

前述の通り、CTVによる視聴者数は、コロナ禍の在宅需要などでさらに加速した。2020年にSMNがデジタルインファクトと共同で行った「国内コネクテッドテレビ広告市場調査」でも、CTV向け広告の市場規模は2024年に558億円に達すると予想している。しかし現時点で、それを上回る加速度的な成長率を見せており、今後CTV広告の価値も高まっていくだろうと谷本氏は分析する。

こうした状況を受け、同社では2021年8月、CTV広告のリーチ最適化及び広告効果測定の強化を目的としてAbemaTVと協業を開始した。ここではテレビCMの接触状況を分析し、CTVにおける「ABEMA」の広告とテレビCMの配信を最適化するほか、各媒体におけるシームレスな広告評価も可能になる。

テレビとデジタルの二元論でも マスとデジタルの二元論でもない

テレビ広告にデジタル広告がシームレスに連動する一番のメリットは、予算の最適化や効果測定を統合的に分析できること。今回示した味の素の導入事例のように、より最適なメディアごとの配信ボリューム調整も可能になる。

「生活者とのタッチポイントを考えると、テレビとデジタルデバイスの接触時間は4時間半から5時間くらい。総メディア接触時間の88%を占めます。今後はここの最適化を図っていくわけですが、ひとつ言えるのは、テレビとデジタルの二元論でも、マスとデジタルの二元論でもないということ。さらにこの先、新聞やラジオといった他媒体のデータとも連携する時代が来るかもしれません」と谷本氏は話す。

※出典:博報堂DYメディアパートナーズ「メディア定点調査2021」(2021年5月24日発表)

改正個人情報保護法の施行も今年の4月に迫る、クッキーレスの時代。個人識別情報を取り除き、利活用を可能にする「データクリーンルーム」の構築も進んでいる。「仕組みの整備でデータの活用領域が広がり、活発化していくのではないでしょうか。2022年は“テレデジ元年”と言えるような時代になると思います」(谷本氏)。

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