2015年に「出版の再発明」を宣言して以降、DXに向けた改革を進めてきた講談社。デジタル領域にも力をいれる同社が考える出版・雑誌広告の現況、そして今後の可能性について、メディア開発部の前田亮氏に話を聞いた。
コンテンツとコミュニティ 2つの品質が出版の価値となる
出版広告市場において、多くの企業が枠売りからの脱却を目指し、新たなソリューションを開発してきたと思います。その開発の基盤となるのは高い熱量を持った読者コミュニティ、あるいはメディアに参画する多くの作家や漫画家などのクリエイターなど、出版社のメディアだからこそ保持している価値だと考えます。出版社が持つIPを活用したキャンペーンの支援や、あえて企業・商品を主語にしない読者視点のコンテンツで新たな顧客との接点づくりに貢献するなど、さまざまな事例が生まれています。
コロナ禍を経て、改めての気づきですが、この強みはアナログの世界だけにしか生かされないものではありません。デジタルの世界でも価値を発揮しうるものといえます。
講談社では、2015年に社長の野間(野間省伸氏)が「出版の再発明」を宣言し、大規模な組織再編が行われました。この宣言には「出版広告の再発明」も含まれており、以降、メディアビジネス部門では、DXに向けてさまざまな改革を推進してきました。
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