Webメディアへの広告投資も増える昨今、広告主企業が雑誌メディアに期待する効果とは、どのようなものなのか。シチズン時計で海外ブランドのマーケティングを担う河野晃子氏に、同社が雑誌を重視する理由とその活用事例を聞いた。
編集者のコンテンツ制作力をより広範囲に活用するプランを
シチズン時計でグループ内の海外ブランドのマーケティングを担当している河野晃子氏。
商品のプロモーションプランを組む際に、各媒体へのメディアプランを検討するが、その中で重要な役割を担っているのが雑誌への出稿だと話す。
「認知度が高くないブランドにアーリーアダプターをつくり、愛されるブランドに育てていくことや、ファンとの長く強いつながりを築くことができるのが、雑誌メディアの強みだと考えています」と河野氏。
河野氏が具体的に雑誌の特長だと考えるのは、①読者層の明確さ②ブランド力(読者からの信頼感)③編集者のコンテンツ制作力の3点。
①により、ブランドのターゲットにマッチする層へと情報を届けることができるほか、雑誌の専門性などから商品に対する読者の知識量も推測できるため、より伝わりやすく響きやすいメッセージを届けることができる。そのため、出稿する雑誌により、プランや打ち出すメッセージは異なるという(具体的な事例は下記)。
②については、「この雑誌に載っている」ということで、まだあまり知られていない商品ブランドであったとしても、雑誌のブランド力により信頼を得られる側面がある。
そして③は、出版社としてのモデルなどのアサイン力、キャスティング力はもちろん、編集部が読者を理解し、絆を築けているからこそ、読者が興味を持つ見せ方の提案が可能になる。
昨今では、Webとの融合性も重要なポイントであると河野氏は話す。「本誌の記事がWeb版に転載されることで、私たちが運営する自社サイトやランディングページにリンクを貼ることができ、購入までの導線を敷くことができます。また、Web版への転載により、自社サイトへの流入数や滞在時間などの効果を数値的に見ることも可能になりました」。
また、本誌、Web転載記事、自社サイト、SNSと、各メディアで共通のメッセージを発信することで、自社が発信するだけでは得ることができない説得力を持たせることもできるという。
「私たちが自社のブランドサイトやSNSで発信するだけでも、集客はできます。しかし、ブランド側が一人称で発信しているだけでなく、第三者メディアが同じメッセージを発信してくれることで、よりそのメッセージへの信頼度が高まります」と考えを語る。
デジタルの発達により、顧客とのコミュニケーション方法が増加するなか、シチズン時計は今後、雑誌メディアにどのような期待をするのか。河野氏は編集者が生み出す良質なコンテンツを拡散する、立体的な...