巨大プラットフォーム企業の台頭により、ニュースや情報、動画、音声などのコンテンツを自ら取材・制作して提供する「コンテンツメディア企業」はいま、マネタイズに苦心している。今後、メディアと広告の価値はどのように変わっていくのか。「コンテンツメディアコンソーシアム」を運営するBI.Garageの長澤秀行氏に話を聞いた。
生活者と企業にメリットをもたらすコンテンツメディアの収益化
電通が発表した「2020年日本の広告費」によると、マス四媒体の広告費は6年連続で前年を下回った。また、2.2兆円を超えたインターネット広告費のうち、マス四媒体由来のデジタル広告費は803億円。こちらは年々増加傾向にはあるものの、構成比にして1.3%と非常に少ない現状にある。生活者のデジタルシフトが進むなかで、この状態はどう見るべきなのか。
フェイクニュースが社会問題となるいま、優良なコンテンツを提供できうるメディアが衰退することは生活者にとっても影響がある。また広告媒体を使って生活者との接点をつくろうとする広告主企業にとっても、優良なコンテンツを自らつくるメディアの存在は欠かせないものだ。だからこそコンテンツメディアが持つ価値を定量的に示し、収益化の仕組みをつくることが必要なのである。こうした考えに基づき、設立されたのが「コンテンツメディアコンソーシアム」だ。
同団体は、2017年に立ち上げた「コンテンツメディア価値研究会」を経て2020年6月に設立。インターネット関連事業を行うデジタルガレージおよび子会社のBI.Garageが運営主体となり、国内メディア28社150媒体が参画。現在、広告効果の検証やデータ活用、それらを基にした共同広告配信プラットフォーム事業を展開している。
2021年11月1日に同団体が発表したコンテンツメディア調査では、コンソーシアム参加社を含む118のメディアの利用者に対してアンケート調査を実施。そのうち記事系の93メディアを「コンテンツメディア」「キュレーション」「ポータル」「ソーシャルメディア」の4つに分類し、取りまとめて分析を行った。
「コンテンツメディアの情報価値・広告価値は、ユーザー視点でもきちんととらえられていることが今回の調査で分かりました。2年前、前身の研究会で行った調査と比較しても、ポジティブな評価はより高まっており、特に態度変容という点に強みがあることが分かっています」(長澤氏)。
調査によると、コンテンツメディア、すなわち新聞社や出版社の運営するWebサイトにおいては、広告表示の仕方や広告そのものに対して「不快ではない」「違和感はない」といった評価が他カテゴリに比べて高く、企業や商品が記憶に残る、信頼度が高まるという印象を持たれていることが分かった【図表1】。
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