これまで企業は、メディアに接触する生活者は数ある情報源の中からメディアを選択し、情報を取捨選択していると考え、「選ばれるため」のコミュニケーション戦略を行ってきた。しかし、「メディア定点調査2021」で見えたのは、これまでとは異なる若年層のメディア接触行動だった。ここでは、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の上席研究員、森永真弓氏が解説する。
違いが明らかになった 10~20代とそれ以上の年代
「若年層はSNSを情報源にしている」ということは、すでにさまざまな調査研究で言及されています。多くのマーケターも実感している状況ではないでしょうか。その事実が正確なのか、ここでは実際のデータを見てみましょう(図表1)。
出典:博報堂DYメディアパートナーズ「メディア定点調査2021」
こちらは「SNSをどんなことに活用しているか」を聞いた調査の結果から抜粋したものです。Twitter・Instagramを「話題のニュースを知る」ことに使っていると回答した人たちを性・年代別に見てみると、10、20代と他のそれ以上の年代で大きな傾向の違いが見て取れます。
この明らかな世代断絶のようにも見える実情を探るべく、メディア環境研究所では様々なインタビュー調査も行っています。若年層への情報行動インタビューを重ねていると「SNSを情報源にしている」よりは「タイムラインを情報収集場にしている」姿が見えてきます。それは、似て非なるものでした。
これまでの生活者の情報行動は、①日常的に様々なメディア(放送・紙・看板・ネットなど)に無意識に接触、②目的が生まれるとメディアを選択、③選択したメディアから必要な情報を探索、と認識していたかと思います。ですから「SNS活用が増えた」は「選択されるメディアとしてSNSが強くなってきた」と捉えていました。
しかし若年層は...