顧客とのコミュニケーションツールとして欠かせない存在となったSNS。企業の言葉をダイレクトに伝えることが可能になった分、これまでの企業と顧客との関係性もグッと近いものになった。では企業と顧客との接点において、いまSNSが提供できる体験価値とは何なのだろうか。約10年にわたり、Twitterの“中の人”を担当する東急ハンズの本田浩一氏に話を聞いた。
東急ハンズ 公式Twitterアカウント 基礎情報

☑アカウント開設:2009年7月
☑フォロワー数:約18万9000人(11月11日時点)
☑運用担当者(中の人):3人(兄、妹、デシが運用中)
SNSは革命的なツール 黎明期を経験した東急ハンズ
SNSは今や、日常生活を送るうえで欠かせないコミュニケーションツール。個人だけではなく、企業・ブランドなど、法人がアカウントを開設し、運用するケースも当たり前になってきた。
SNSの特長は何と言っても、顧客とダイレクト、かつインタラクティブなコミュニケーションをとることができる点。企業が顧客とコミュニケーションをとる手段としてはとても便利だが、その上で運用担当者(中の人)が意識しておきたいのが、SNSで提供可能な「顧客体験」の価値だ。
「SNSは革命的なツールです。それまでは、企業と顧客が双方向的に、そして気軽にコミュニケーションをとる方法はありませんでした」。こう話すのは、東急ハンズの公式Twitterの“中の人”、本田浩一氏だ。
同社は、米国発のTwitterが日本版のサービスを開始した翌年の2009年にアカウントを開設。日本におけるTwitterの黎明期から存在感を示してきた“老舗”アカウントのひとつだ。
本田氏はアカウント開設当時から11年経った現在も“中の人”としてTwitterを運用している。
“商売の匂い”がするツイートは顧客体験の価値を低下させる
それから約10年が経過し、サービスを提供するプラットフォーム数も増加した今、SNSに対する生活者の意識が変化したことは明らかだ。
しかし、企業の公式Twitterが担う、“共感を醸成する”という役割は変わらないと本田氏は話す。
SNS登場前までのコーポレートコミュニケーションは、リリースの配信など一方通行のものが主流。発信すれば顧客から返信がくる、という双方向のコミュニケーションが実現したことで、企業は顧客と同じ目線で...