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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

サステナビリティが次なるテーマ EC商品のパッケージデザイン

梅田 恵 氏(アスクル)

    EC商品のパッケージデザインの極意

    ☑販売時ではなく、使う場所やシーンをイメージしたデザイン。

    ☑デザインの力で、課題解決や新たな価値観を提案する。

    ☑商品を買うだけでサステナブルの実現に繋がる工夫を。

「なければつくればいい」からオリジナル商品を開発

「お客様のために進化する」、これがアスクルのDNAです。私たちが目指しているのは、お客さまと社会にとって必要なものを、もっとも望ましいかたちで提供すること。常にお客さまの声を聞きながら、商品、サービス、システムを進化させ続けています。

当社では、1995年からオリジナル商品の開発を始めましたが、これも、「なければつくればいい」という発想から始まりました。お客さまが求めているものがない場合、またお客さまにとってより高い価値が提供できる場合は、オリジナル商品として、当社がマーケティングパートナーとともに新たに開発しています。オフィスや働く現場、そして私たちの生活環境は、絶えず変化しています。そうしたなかで日々、お客さまの声を聞きながら新しい価値のオリジナル商品を提供しています。

アスクルは、創業初期からオリジナル商品のパッケージデザインを大切にしてきました。パッケージデザインは、商品価値の創造だけでなく、今やアスクルの強いブランド資産となり、差別化要素にもなっています。

1995年からコピー用紙やファイル類、文具などオフィスに必要なものを機能的なパッケージデザインで提供し、オリジナル商品化を拡大。2005年以降は北欧を中心とした海外デザイナーたちによるデザインで「お客さまのお客さまへの“おもてなし”」をコンセプトに、カーディーラーや飲食店等、接客シーンに必要な日用品にまで商品バリエーションを拡大してきました。

商品を使用する場所・シーンや課題解決を第一に考える

私たちが重視しているのは、ECやカタログだからこそできる、使用シーンを第一に考えたデザイン設計です。店頭で販売することが前提の商品は、店頭で目立たせることで、多くの商品の中から手に取ってもらうことを目的としたデザインの傾向が強かったと思います。一方でEC販売専用の商品の場合、商品情報はWebやカタログに掲載することができるため、パッケージは使う場所やシーンを第一に考えたデザインや、お客さまの課題解決となるデザインに特化することができます。

例えば、接客シーンに欠かせないコーヒーフレッシュ。アスクルオリジナル商品では、約3カ月ごとに定期的にフタの色を替えて提供しています【写真1】。理由は、先に購入したものがひと目でわかるように。見た目の美しさだけでなく、利用者の課題解決や新しい生活様式の創造、そして新しい価値の提供を、「デザインの力」で実現しています。

【写真1】 アスクル限定 メロディアン セレニータシリーズ 4.5ml
3カ月ごとにフタの色を替えている。

見せて置いておけるから、使う時に探す必要がない

「LOHACO ECマーケティングラボ」は、生活者とメーカーを直接つなぐ“社会最適”な流通プラットフォームを目指し、2014年に設立した研究拠点です。お客さまとメーカー、そしてLOHACOの3者で“win−win−win”の関係を構築すべく活動しています。

2021年の第8期は、123社の参加企業と共創マーケティングを推進。その取り組みのひとつである「暮らしになじむデザイン商品(Consumer Brand=CB商品)」は、①デザイン性と ②サステナブル、そして ③暮らしのお悩み解決が開発のコンセプト。これら3つの要素を満たす、新しい価値の商品をメーカーと共同企画し、LOHACOで販売を行っています。

暮らしになじむデザイン商品は、アスクルの事業所向け通販「ASKUL」で培ったデザインの考え方を取り入れ、使用シーンを第一に考えて、各メーカーのデザイナーに、LOHACOの利用者に向けたパッケージデザイン開発に挑戦していただいています。

【写真2】は、まるで陶器を思わせる“染付けの青”が美しい、白磁の質感を再現したデザイン。一般的に店頭で販売されるナショナルブランド品(NB品)とは異なり、商品ブランドロゴを小さく配置することで、生活空間になじみ、長く愛着を持って使っていただけるデザインを実現しました。中身がなくなれば...

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