PR会社、事業会社のマーケティング部門を経て、エムスリー・カンパニーを設立した代表取締役社長の松本淳氏。エージェンシーと事業会社の両方の視点を持つ松本氏は、現在の日本のマーケティングにおけるPRの活用をどのように考えるのか。
日本企業のテレビCMは誰のため?PRで個々の消費者へ価値を届ける
エムスリー・カンパニーでは、PR会社としてヘルスケア、食品分野に特化したコミュニケーションサービスやマーケティングコンサルティングサービスを提供していますが、当社への相談として多くあるケースのひとつが「ロングセラーブランドの製品」です。
これまでに実施してきた広告施策により、すでにある一定の認知を獲得している商品に対して、さらに広告だけで買う動機をつくるのは難しい。加えて企業のマーケティング投資は、新商品に多く配分されるので、既存のロングセラーブランドには潤沢な予算がないケースも多く、新たなマーケティング施策が必要と考える方が多いようです。
そこでマーケティングPRに期待がされるわけですが、これまでの市場、競合関係とは異なる場所で、自分たちが1番になれる土俵をつくることにPRだからこそ実現できる価値があると考えます。
ここ10年ほどで日本企業の中でのPRの浸透は進んでおり、以前は国内企業に散見された、「フィーを支払う概念がない」という障壁も...
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