アイデアを量産する極意
☑既知を多く知る人にのみ新種=原石発見のチャンスは訪れる。
☑自分が良いと思うなら、それは良い原石。原石探しのコンパスは自分の心。
☑この世界自体が何かの原石。アイデアの鉱脈はいたるところに。
企画屋=宝石商?見えない原石を発掘する方法
お仕事は何をされているんですか?と初対面の方に聞かれた時、最近こう答えています。
「宝石商です。」
もちろん半分冗談ですが、半分は本気です。僕はアイデアを生む「企画屋」ですが、それは誰も目をつけていないモノやコト、つまり原石を見出して、磨いて世の中に出す仕事。つまり企画屋とは、着眼で食ってる、原石の目利き、見えない宝石商だと思うからです。
この原稿で僕が依頼されているのは『人とは違うものの見方「着眼点」を鍛える』方法。宝石商的に言えば、見えない原石をどうやって探しているか。僕は今までいろんな人に、その方法を伝授してもらってきました。宝石商に?いや、新しいことを追い求める人はみんな、原石を探す宝石商。今日は、その秘伝をお話ししたいと思います。
採掘の地図は自分でつくる!見方を養う「伝説の授業」採集
この商売を志したのは、かれこれ40年近く前。小学校1年生の時、将来の夢を書く文集に「発明家になりたい」と書いた時に遡ります。発明家といっても、ちょっとしたアイデアで特許取って大儲けした主婦の発明みたいなものが大好きだったんですね。発明はまさに誰も見つけていない見えない原石探し。そのロマンに人生を捧げると決めたわけです。
その流れに影響を与えた最初の師匠は父です。父の職業は植物学者ですが、これもある意味宝石商。新種を発見するという、まさにわかりやすい「原石」を見つけたりする職業です。
父からは夏休みの自由研究で、植物学者的原石の見つけ方を教わりました。それは、植物採集。とにかく集める、そして分類するというやり方。たくさん集めることで気づくことがあるんですね。この部分が似ているとか。地域での分布の傾向とか。そして、これはどうも分類にないぞ、となった時に新種発見となります。既知をたくさん知る人にのみ、新種=原石発見のチャンスは訪れるわけです。
理系に進んだ高校時代。ここでは数学の先生に、その後の原石発見に多大な影響を及ぼす一言をもらいました。その言葉は「公式は覚えるな」。先生の意図したところは、テスト中に公式を忘れたら全部間違ってしまうから、自分で導き出せるようにしておきなさい、ということだったのですが、その発言に僕はガーンときました。公式って誰かが決めたものじゃないんだ。誰かが自然の真理から気づいたものだったのか。つまり「すべてのものには理由がある」。
それ以来、誰かがつくった道筋を差し出されても「鵜呑み」にしなくなりました。それは本当か?その通りじゃなくてよくないか?その通説をまず疑う。つまり、自分の原石探しの地図は、自分でつくるということを、その瞬間に教えてもらいました。
大学は工学部に進みましたが、そこでも原石の見つけ方を学びました。4年生の秋。卒論前の中間発表会。30人ずつに分けられて、1日発表し合うのですが、集まった学生は、自分の発表時間以外は、ほぼ居眠りしていました(僕含め)。担当教授は、最終手段に出ました。「ひとりが発表したら、3人ずつ質問してもらうからな、当てます」と。みなが目を覚まし、発表が終わった時、最初に当たったのが僕でした。
「発表もうまかったし、何より起きて聞いていたから、よくわかったんですが⋯、この研究、何の役に立つんですか?」と質問したら、大ウケでした。あまりに普通の質問だったから。素直に思ったことを口にしただけだったのですが。しかし、教授の一言に教室は静まりかえります。「いい質問だ。なぜなら、工学というものは、理論をどう世の中に役立てるかという学問だからだ」と。
「思ったことをそのまま...