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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

アイデア発想の極意(1)効率よく「組み合わせ」を試してアイデアを量産する

大澤 孝氏(アイデアステーション)

    アイデアを量産する極意

    ☑「アイデア=面白いこと」という固定観念を捨てる。

    ☑アイデアは「組み合わせ」。多くの“くだらない”組み合わせで確率を上げる。

    ☑あえて異質なものを組み合わせることで生まれる新しさ。

みんなアイデアに自信がない?“アイデアを出す”とは何か

私はトイクリエイターとして20年以上おもちゃの企画に携わり、これまでに数百個にのぼるおもちゃを世に出してきました。その中には売れたものも売れなかったものもありますが、とにかくアイデア発想に追われる日々を送っています。

誰しも気分の乗っている日もあれば、乗らない日もあります。芸術家であれば「気分が乗らないからしばらくバカンスにでも行こう」とトランクに荷物を詰めはじめればよいのですが、ビジネスパーソンはそうはいきません。犬のフンを踏もうが競馬に負けようが失恋しようが、楽しいアイデアを考えないといけないこともあるでしょう。

“企画はセンミツ(千に三つ)”なんて言いますが、ひとつの企画は少なくとも100以上のアイデアから選びたいところ。なぜなら、たくさんの案の中から選んだほうが良いものを選べる確率が高まるからです。そのためには、どんな時でもコンスタントにアイデアを量産する必要があるのです。

玩具業界は学生に人気なので、毎年、採用試験には多くの応募があります。おもちゃをつくるために過酷な競争を勝ち抜いてきた新卒社員に、研修で“アイデアに自信があるか”と質問すると、意外なことにほぼ全員がないと答えます。これは日本人ならではの謙虚さが原因かもしれませんが、思いのほかみんなアイデアに自信がないのだなと実感します。

その理由は何かといろいろ探ってみると、多くの人がアイデアというもの自体をハードルが高く難しいものだと考えていることがわかりました。

僕は、この原因のひとつがバラエティー番組でよく見る「大喜利」にあるではないかとにらんでいます。テレビの大喜利では、一流の芸人たちがポンポンと気の利いた案を言い合います。どうも、アイデアとは大喜利のように“面白くて気が利いたもの”だという考えを持っている人が多いようです。

いきなり「面白い案を考えて」と言われても、誰しも言葉に詰まってしまいますよね。もちろん僕も同じです。そう、実は“アイデアは必ずしも面白い必要はない”のです。芸人のように面白いことをポンポンっと思いつく必要があると思っているから、みんな自信がないのです。

では「アイデア」とはそもそも何なのか。アイデアに関する名著である『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)に、次のような一説があります。

“アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない”
──ジェームス・W・ヤング

これがアイデアの鉄則であり、真理です。世の中にはさまざまなアイデアの発想法がありますが、とどのつまり効率よくたくさんの組み合わせを試すためのメソッドにすぎません。

では「アイデアを出す」とはどういうことか。見たことも聞いたこともない案、なんて誰にも出せません。結局のところ、いろんな組み合わせを片っ端から試してみる、これに尽きます。例えてみれば、料理のようなものかもしれません。無数にある食材を組み合わせる中で、ごくまれに“トマトとチーズ”“ドジョウとゴボウ”のような奇跡のマリアージュを生み出す組み合わせが見つかるのです。片っ端から食材を組み合わせること=アイデアを出す、です。そして、組み合わせで生まれたものすべてが美味しい必要は、まったくないのです。

頭に入れ、ひたすら組み合わせる アイデアを量産するためのコツ

アイデアを考える際は、たいてい何らかの“テーマ”があるはずです。例えば「今までにないスリッパ」というテーマの場合、組み合わせの片方は「スリッパ」になります。この「スリッパ」に対して、キーワードを組み合わせていけばよいのです。

「ガラスのスリッパ」「紙製スリッパ」「食べられるスリッパ」「字が書けるスリッパ」「フカフカのスリッパ」「スマホケースのスリッパ」など。頭に浮かんだもの、目についたものを片っ端から組み合わせていきましょう。

何度も言いますが、一つひとつは...

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