今回で59回目を迎える「宣伝会議賞」。これまで50の作品がグランプリに輝いています。本対談では、過去に応募経験のあるCHERRYの青木一真氏と、九州博報堂の中村圭さんの2名の審査員が、好きなグランプリ作品を選定。その選定理由について語り合いました。審査員が選んだ「グランプリ of グランプリ」はどの作品なのでしょうか。
2名の審査員が選んだのは同じグランプリ作品だった!?
──青木さん、中村さんは「宣伝会議賞」への応募経験があるそうですね。
青木:僕は広告営業としてADKに入社しました。「宣伝会議賞」への応募はクリエイティブ職に興味があったわけではなく、広告人として働くのであればクリエイティブも勉強したほうがいいだろう、くらいの理由でした。そうやって自分なりに広告の表現領域に向き合っていたとき、広告の「芯」を司るコピーに惹かれていきましたね。
中村:私は「宣伝会議賞」に応募したときのことを明確に覚えていて。学生時代、たまたま立ち寄った書店で「一行で、100万円」というコピーを見たことがきっかけでした。これが学生には衝撃的で(笑)。「宣伝会議賞」がきっかけでコピーライティングの楽しさを知って、授業中にも「宣伝会議賞」のコピーをつくったり…。コピーにのめり込むきっかけになりました。もし、「宣伝会議賞」に出会っていなければコピーライターになっていなかったかもしれないです。
応募していたのはもう15年前の話。今回が初めての審査なのですが、自分が審査を担当する日がくるとは思ってもいませんでした。
──今回は過去のグランプリ作品の中からご自身の好きなものを選んできていただきました。
中村:ダントツで好きなコピーは、第42回のグランプリ。キヤノン販売の課題の「父親の席は、花嫁から一番遠くにある。」ですね。私は、これまでも多くの人が感じてきたけれど、言語化されてこなかったことを言葉にしたコピーが好きです。
この作品は、「花嫁の姿を一番写真に収めたいのは父親のはずなのに、物理的に距離が一番遠いところに席がある」という多くの人が共感できる光景を言葉にしながら、「その距離感のなかでも望遠レンズで綺麗に花嫁を撮影できる」という商品の特長も述べています。コピーとして...