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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

コピーライティングの極意(2)『餅つき』のように、広げてまとめるを繰り返す

正樂地 咲氏(電通)

    コピーライティングの極意

    ☑広げてまとめる作業の繰り返しをやり抜く、根気強さを持つ。

    ☑400字⇒40字⇒10字と、アピールポイントを濃く、絞り込んでいく。

    ☑ひとりよがりなメッセージになっていないか。周りの人の考えを聞く。

「閃き」は「忍耐」から 世に出る瞬間まで耐えるのが才能

コピーライターと名刺に書いて早13年。年々思うのは、「コピーを書く才能・企画をする才能」というのは結局、「どこまで根気強く考えられるか」に尽きるのではないかということ。学生時代、宣伝会議のコピーライター養成講座に通っていた頃は、巨匠の皆々様が放つオーラに圧倒され、漠然と「この人たちは才能があるんだろうな」と思っていたのですが、その時は才能を「閃く力」と捉えていました。

もちろん「閃く力」は大切で、そこに個々人で差はあると思うのですが、それはさておき、今の私が思う広告制作における才能とは「どれだけ根気強く広げて、まとめてを繰り返すことができるか」ということ。

ひとつの商品に対して、たくさんの魅力を様々な方向から探し広げる、それを紙に書いて、分類して、またまとめる、またそのまとめたものを、掛け合わせて広げる、またまとめる。仕事になるとそこへ納期や予算やいろんな条件が乗っかってきて、それでもめげずに、広げてまとめる。そうそう刺激的でもない作業をひたすら繰り返す。それをやり抜く根気強さこそが、才能なのではと思っています。

私が尊敬する先輩は、企画が通ったあとも、撮影現場でも、世に出るその瞬間までこの忍耐を切らさない。それがすごい。って、ふと思ったのですが、広げてまとめるを繰り返す⋯餅つきみたいですね。あれ?何、言ってるんだろう。

初めから10文字を書くのは無茶!作文を詩に、詩をコピーに。

前述した「広げる」ということをもう少し紐解いてみます。例えば広告したい商品を、せっかくなので(?)「餅A」とします。

まず「餅Aのいいところ」を20個から30個ほど書き出します。調べたり、思いついたりしたことは何でも書いてよくて、この時には、アイディアになりそうか、どうかの取捨選択はしません。とにかく数を出す。「よくのびる」「新潟のいい米を使っている」「米本来の味がする」「保存がしやすい」「値は少しはるが味は確か」「新米でつくっている」「パッケージがおしゃれ」「某有名人がおいしいと言った」「餅Bと比べて日持ちはしないがその分、無添加」「正月が来たなと実感できる」「正月太りしたとしても食べたい」etc。

最初に目標の数を決めて書き出すと、無理やりにでも広げようとするので効果的。「誰もが知っている餅A」「自身のフィルターを通した餅A」「とある人のフィルターを通した餅A」「餅Bと比べた餅A」「餅そのものについて」。とにかく「餅Aのいいところ」を見つけます。そしてそれらをどんどん掛け合わせて広げます。

そうして広げた中から、例えば最大で3つ(できれば1つ)、広告で言うことを絞ります。この時点で「たしかに餅Aにはこういういいところがあったよね!(驚)」「餅Aのこと知らなかったけど、こんな商品、前から欲しかったかもしれない!(喜)」と世の中の人が思ってくれそうなものになっていたら最高ですが、なかなかそうはいかない。そこでまた、広げてまとめるべく、必死に見つけた餅Aのアピールポイントを用いて、まずは400文字くらいで餅Aの魅力が伝わる作文を書きます。

「某有名人は正月の帰省に餅Aを手土産に選び⋯」「今年の餅Aの味は(新米だから)今年しか食べられないので2月のお汁粉分も買っておくことを勧めよう⋯」とか勝手に色々書いていきます。そしてまた、この400文字を40文字に、そして最後は10文字前後(場合によっては5文字前後)にまとめます。400文字だと作文で、40文字だと詩、10文字前後でキャッチコピーになるはずです。

このプロセスを踏んで、餅Aのアピールポイントをどんどん濃くしていきます。途中、考えすぎて冷静になれなくなったら、周囲の人に見せて意見を聞く。その時に言われたことは、納得いかなくてもとりあえずやってみる。うまく言ったり、韻を踏んだりするのはあとからでもできるので、そういう枝葉の前の幹をしっかりとつくっていくことが大切です。餅の次は、木で例えてしまった⋯。『モチモチの木』という物語を小学校の時に習ったことを思い出しました。

ちなみに、慣れてくると、作文と詩のプロセスは書き出さなくても頭の中でできればいいし、実際に私も毎回しているわけではないのですが、流れとしてはこのような感じでいつも考えています。出せる量は少ないけれど、濃いものを出したい所存です。最初から10文字を書こうとするのは無茶だ!希少部位は1頭の牛からほんの数グラムしか取れないのと一緒です(これまでの例えよりはマシに言えた気が⋯)。

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