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テレビの価値は「認知獲得ファネルに強いこと」その根拠は?

フジテレビ×サイカ

肌感覚で語られることの多かったCMの「残存効果」「波及効果」「ブランド蓄積効果」。そんなテレビの効果を可視化すべく、フジテレビジョンとサイカが共同レポートを発表した。統計分析手法を用いて統合的なメディア分析を行うマーケティング・ミックス・モデリングによる249事例の解析から見えたマーケティング施策全体における、テレビ活用の意義とは。

(左)
サイカ
代表取締役CEO
平尾喜昭氏


(右)
フジテレビジョン
営業局 営業推進部
吉田高次氏

統合的なメディア分析でテレビの価値を正しく評価

──フジテレビジョンとサイカは共同でレポートを発表しました。

吉田:インターネット広告に比べてテレビCMの効果測定が難しいという課題意識は、2019年にインターネット広告費がテレビを超えたことでさらに強まっていました。一方で、テレビの価値を再評価する声が高まっているのも事実です。

ブロードリーチによる潜在需要喚起力や大画面と音声による態度変容力、共視聴、信頼性などがそれにあたります。このようなテレビの媒体特性が生み出す広告効果をデータに基づいてきちんと言語化したいと考えていました。そのような経緯があって、今回同じ課題意識を持っていたサイカさんと協力することになりました。

平尾:私たちは2012年の創業以来、企業のマーケティング投資の最適化を支援してきました。2020年にはデータサイエンスを駆使してマーケティングの成果を最大化させるアドソリューション「ADVA」をローンチし、分析だけでなくCM制作から出稿まで総合的に支援できるようになりました。これまで160を超える企業のマーケティング投資の効果を分析してきましたが、テレビは効果の可視化が十分でないばかりに過小評価されているのではと疑問視していました。

そこでオンライン広告とテレビCMを統合的に比較し、どの施策が成果に繋がるのかを分析してきました。オンラインではできる「事業成果に対する効果測定」と「事業成果と連動した運用」がテレビではできない。この理由だけでテレビのメディア価値が過小評価されていることが分かりました。裏を返せばこの課題が解決すると、テレビの価値はより高まるということです。そこで当社ではテレビがマーケティング施策で果たす役割にフォーカスして価値提案をしてきたのです。

──2社の間でどのようにプロジェクトを進められたのでしょうか。

吉田:プロジェクトは「テレビCMの適正評価に悩む広告主に課題解決のきっかけを提供すること」をゴールに進めました。適正評価のためにはCM放送直後に発生する直接効果を見るだけでは不十分です。サイカさんは放送終了後の残存効果や、ブランド蓄積効果による中長期的な影響を分析していたので、そこをメインテーマにしました。さらに店頭販売率や指名検索数が底上げされることによる波及効果や、投下予算とROIを加味した総合的な売上効果の可視化も提案いただきました。

平尾:当社が提案したのは「正確にテレビの価値を測ろう」ということ。長く分析を重ねてきた私が感じることは、「テレビの価値を、テレビから取得したデータだけで定義してはいけない」ということです。テレビ以外の媒体データと結びつけずに分析してしまうと、ROIやターゲティングの粒度ばかりがメディアの評価指標になってしまい、本質的な価値が見えなくなります。

統合的なメディア分析や、直接効果以外の可視化は難しく、面倒だと思われがちですが、目を背けていては正確な分析はできません。テレビCMの価値を適切に評価するためにはあらゆる効果を丁寧に測定する必要があるのです。

──具体的にどのような分析結果になったのでしょうか。

平尾:まずテレビの残存効果は約10週間と、他メディアと比較して2倍以上ありました。波及効果による購買割合は、指名検索数で36%~42%。店頭販売率ではさらに大きく67%~83%。ブランド蓄積効果では短期獲得コンバージョン数の65%~70%を長期でさらに獲得していました。

そして直接効果を加味した総合的なコンバージョン獲得インパクトをメディア間で比較すると、テレビCMは動画広告に比べ約5倍ありました。ROIこそオンライン広告が上回っていますが、テレビCMのROIでこの規模のコンバージョンが獲得できる媒体は他にありません。

吉田:ROIと売上規模の関係はとても勉強になりました。インターネット広告は明確層や顕在層に効率的にアプローチできますが、それだけでは売上規模が大きくなりません。テレビCMはリーチボリュームが大きく、潜在層や将来顧客層の認知獲得にも高い効果を発揮します。両者を適切に組み合わせることで広告主の長期的な事業成長に貢献できると考えています。

──今後、この取り組みをどのように生かしていきたいですか。

吉田:テレビ局の存在意義は生活を豊かにする良質な情報やコンテンツを社会に届けること。それによって効果的な広告枠も提供できます。今回のプロジェクトで確認できたテレビCMの価値をさらに高めるため、コンテンツと融合させた広告枠を考案していきます。またサイカさんのような分析のプロと協力し広告主にお役立ていただける情報を発信していきたいと考えています。

平尾:「ADVA」のように、あらゆるメディア活用においてデータサイエンスをもとに事業成果に対する貢献度を把握し、それに基づき意思決定するプロセスがデファクトスタンダードになる世界観をつくっていければと考えています。そして、テレビを筆頭にこれまで評価が難しいとされてきた認知系メディアを正しく評価・活用することで、メディア側のコンテンツ力が上がり消費者の満足に繋がる。そのような好循環を生み出していきたいと考えています。

図表1 MMMで解明されるテレビの広告効果
※この図表は概念図であり各効果がもたらす実際のCV数や割合を表すものではありません

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