デロンギ・ジャパンは昨年11月、コーヒーのサブスクリプションサービス「ミーオ!デロンギ」を開始した。家電メーカーである同社がなぜサブスクリプションサービスという形式を採用したのか。プロジェクト担当者の木村健二氏に、ローンチの背景と業界ならではの課題の解決方法を聞いた。
ミーオ!デロンギ>>家電メーカーが始めた日本限定サブスクサービス
高級家電市場/コーヒー市場の課題
●高価格調理家電は購入検討時の離脱率が高い
●ヒットすると機能やデザインの模倣が起きやすい
●コーヒーは生活必需品ではなく嗜好品のため、「買う」動機をつくるのが難しい
課題を解決するアイデア
●高価格であることを感じさせないサービスモデルの開発
●見た目の模倣では実現しえない“ブランド価値”を伝える
●「購入」ではなく「利用」の選択肢を与える
“価格のバリア”を破ったアイデア「日本人の支払い感覚」に着目
コロナ禍でリモートワークも広がり、自宅でゆっくりコーヒーを楽しむ人も増えている。しかし、この“家ナカ”コーヒー市場は、インスタントに始まり、各種器具・家電など多様な業界が参入する激戦市場だ。
そんな家ナカのコーヒー市場で新たな挑戦をしているのがイタリア生まれの家電メーカー「デロンギ」。同社は2020年からコーヒーのサブスクリプションサービス「ミーオ!デロンギ(MIO!De'Longhi)」を日本限定で開始したのだ。受付開始から申し込みが殺到し、初回は約1週間で受付を停止するほどの人気ぶりだった。
同サービスは、デロンギの全自動コーヒーマシン※を最低契約期間である2年間無料で貸与し、イタリアのコーヒー豆ブランド「ムセッティ」の6種類のコーヒー豆の中から好きな豆を定期的に届けるというもの。最大のメリットは、最低契約期間満了で貸与していた全自動コーヒーマシンがそのまま顧客の所有物となるという点だ。
同サービスを担当する、木村健二氏は「購入検討層からの離脱者の多さ」が開発の背景にあると話す。デロンギの全自動コーヒーマシンは、5~20万円前後の高価格であることから、検討から購入へ結びつかないケースが多発していたという。
「ローンチは昨年ですが、企画自体は2018年から議論を...