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経済学の視点

確実な損と確率的な損

飯田泰之氏(明治大学)

日本人を「保険好き」にした、消費者心理を動かすシステム

日本は40代男女の約90%が生命保険に、約80%が民間医療保険に加入しており、その割合は国際的にも非常に高い水準です。なかでも医療保険については、ほぼ全員が公的医療保険に加入している上での民間保険加入であることから、「日本人は保険に入りすぎだ」という主張もあります。その是非はさておき、これは経済学・心理学的には画期的な出来事です。

一般的に、確実な損と確率的な損について多くの人は前者をより強く嫌う傾向があります。つまりは、「50%の確率で200万円失う」よりも「確実に100万円失う」ことを嫌うというわけです。加えて、人は遠い将来の損得よりも、直近または現在時点での損得に強い関心を抱く傾向があります。

保険に加入するということは現時点で確実に保険料を支払い、将来発生する(かもしれない)損失を抑える──つまりは「将来の不確実な損失」よりも「今の確実な損」を選ぶという経済行動です。本来ならば嫌う人が多い選択肢をほとんどの日本人が選んでいる。これは画期的なことです。日本人をかくまでに「保険好き」にした保険業界から学ぶべきことは多い。今回はそのごく一部を紹介してみましょう。

日本の保険市場のひとつの特徴は積立型保険の...

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