ブランドや商材によって、動画を活用する目的は大きく異なる。多種多様な日用品商材を展開する花王では、どのように目的に合わせたメディアとクリエイティブを企画しているのか。花王デジタルメディア企画室の吉田智保氏に話を聞いた。
エモーショナルな表現より性能を視覚で伝えたい商品で活用
動画はマーケティング活動の様々な場面で活用が可能だ。しかし多様な選択肢があるからこそ、施策に合わせた目的の精緻化が肝になってくる。
花王の吉田氏は「動画はファネルのすべてのステージで活用できるツールであると認識している」と話す。
「リーチを拡げたいのであればYouTube、よりパーソナルなターゲットに対して購買促進につなげたいならSNSなど、動画を流すメディアを目的に合わせて選定」(吉田氏)。
また最近、活用が進んできたインターネットテレビについては、「ネットメディアですが、テレビに近い受動的な視聴態度であると考えられることから、認知のファネルで活用しています」という。
多様なコミュニケーション手段のなかで動画が持つ特長とは何か、そのひとつに情報量の多さがある。Webバナーであれば載せられる情報はワンメッセ―ジになるが、動画の場合には、音や動きでよりリッチな情報を届けることができるからだ。とはいえ、「必要以上にクリエイティブにエモーショナルさは求めない」と吉田氏。花王では、例えばヘアカラーの使い方や、洗剤の泡が広がる様子を表現するなど、特に視覚的に性能を伝えたい商材で活用しているという。
「当社が扱うのは日用品なので、大切なのは手元に欲しいと思うかどうか。多様な表現ができる動画なので、もちろん情緒的な要素も取り入れますが、あくまでもその商材を必要としてくださる人に振り返ってもらうためのものです」。
YouTubeなら6秒以内 大切なのは自分ゴト化させる情報
長年マス広告も多く投下し、テレビCMを活用したコミュニケーションも行ってきた花王。テレビCMの動画とデジタル上の動画の使い分けについては、「世の中のインターネット広告費が増加する動きに伴い、2017年頃から出稿額や...