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国語学の視点

やっちゃえ、やっばい…キムタクの「現場感」を生むことば

金水 敏氏(大阪大学)

15秒で「脱おじさん化」を表現 もはや伝統芸の言葉づかい

木村拓哉。言うまでもなく、1991年のSMAPデビュー以来、日本のトップアイドルの道を疾走し続けてきた人であり、著名な監督・製作者から絶大な信頼を寄せられている、日本を代表する名優でもある。そのキムタクももう48歳。近年の彼の出演するCMにただよう、そこはかとないオモシロさはいったい何なのか。

彼の演じる男性像の魅力とは、何より「現場感」であり、「おじさん化」にあらがうエネルギーだ。彼のドラマでの代表的な役柄を見ると、『HERO』では、デスクワーク一辺倒のはずの検事ががんがん捜査権を駆使するところが型破りだったし、『CHANGE』では、現場感そのままの若造が総理大臣にまでなってしまうのが魅力だった。

そういったドラマのイメージを背景に、CMでも、やはり現役バリバリの“できる男”感をみなぎらせているのだが、残念ながら、気を抜いたらたちまちおじさん感がしみ出してくるお年頃ではある。では、どうやって短いCMの中で脱おじさん化を図るか。

ひとつには、普通のおじさんがやったらとても見ていられないスカした仕草を恥ずかしげもなくやって見せること。例えば日産自動車「アリア」のボディに触れる指さばき、リモコンで出庫する際のムーンウォークの足さばきはどうだ。これは...

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