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経済学の視点

「大きなカブ」と成果主義

飯田泰之氏(明治大学)

限界生産がプラスなのはネズミだけおじいさん達の賃金はゼロ?

「大きなカブ」という話をご存じでしょうか。おじいさんが大きく育ったカブを引き抜こうとしてもなかなか抜けない、おばあさんに手伝ってもらっても「まだまだカブは抜けません」。その後、孫や犬・猫、最後にはネズミにまで手伝ってもらい、やっとカブは抜けましたとさ……という、私が幼稚園の時に「カブ役」として華麗な舞台デビューを飾った定番の童話です(記憶にはない)。

ところで、このカブ収穫プロジェクトでもっともコントリビューションの大きかったプレイヤーは誰でしょう?

経済理論でしばしば用いられるのが限界生産という概念です。追加された労働によって新たに生み出された生産(または売上・利益)を労働の限界生産と呼びます。

企業が人を雇い入れようとする場合、この限界生産と賃金を比較して雇い入れるか否かが選択されます。その人を雇うことで得られるものが限界生産、そのための費用が賃金ですから、「限界生産>賃金」である限り、企業は雇用を拡大しようとするわけです。賃金と限界生産が等しくなる状況で、企業の利潤は最大になります。

童話「大きなカブ」において、おじいさんからネズミまで、各参加者の限界生産性はいかほどでしょう。...

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