確かに便利!消費者のインサイトを捉えた商品 8事例
リモートワークにマスク生活、消費者の生活は大きく変化している。消費者の“いま”の気持ちに寄り添い、課題を解決するプロダクトの秀逸事例8選を紹介。
現代における「顧客理解」方法と実践
プロダクトやサービス設計をデザインするクリエイターは、「顧客理解」をどのようにとらえているのだろうか。また、これからの顧客理解に重要な視座とは?直近のプロダクトデザインから将来のサービスプランニングまで、幅広い領域に携わるソニーデザインコンサルティングの細田育英氏の考えを聞く。
デザイナーとしてキャリアをスタートした細田育英氏は、2004年にソニーに入社し、ウェアラブルや先端デバイス、人工知能チャットアプリ開発などの新規案件を担当。現在は、ソニーのインハウスデザインで培ってきた能力を外部にも解放すべくスタートした企業、ソニーデザインコンサルティングでソニーグループ外のパートナーや企業のプロダクトのデザインからブランド構築、新規ビジネス開発など幅広い領域でクリエイティブディレクションを行っている。
翌年に発売が決まっているプロダクトから、5年先、10年先に誕生する新規案件まで、様々なスパンのプロジェクトに携わる細田氏は、「顧客理解」には、“ストーリー”を描き、その気分に共感してもらうことが重要だと考える。
しかし、その“ストーリー”を描く方法は、「プロジェクトの時間軸により異なる」と話す。プロジェクトの時間軸が異なるということは、届けたい顧客の時間軸も異なる。現在のお客さまに届けるのか、少し未来のお客さまに届けるのか。それにより、顧客理解の手法を使い分けているという。細田氏が考える「顧客理解」に迫る。
「コロナ禍前は、表参道や渋谷で、『少しお話うかがえますか?』といった調査もよくしていました。会議室であれこれ考えるよりも、外に出れば目の前にお客さまとなりうる人たちがたくさんいる。この考えで、街に出かけていました」と細田氏は話す。インタビューを行う際、大切なのは「相手の目線に合わせること」だという。企業がインタビューを実施すると、「こちらの喜ぶ回答をしなくては」との意識からか、本心を聞くことは難しい。そのため相手の目線に合わせた、構えなくてよい環境をつくることがポイントだと話す。
「会社にユーザーを招いてインタビューをすることもありますが、皆さん声のトーンが上がりがち。これは、かしこまってしまっている証拠。面白いのがインタビューの合間に『10分間休憩にします』とお菓子と飲み物を置いたりすると、声のトーンが2段階くらい下がるんです(笑)。その時に話している雑談内容こそ本心で、顧客を知ることにつながると考えています」と細田氏。
新型コロナにより対面のインタビューが行えない状況が続く中、オンライン調査を実施する機会もあったという。その際も同様に、「相手の目線に合わせたコミュニケーション」は意識的に行っていた。
「集計しやすいよう、フォーマット化した調査も行うことはできますが、あえてLINEやメールなど、普段お客さまが使い慣れているものを使用し、文面も堅苦しくないトーンを心がけます」と話す。本心と違う言葉で顧客を理解し、それをもとに企画をすると...