コロナがもたらす「家計不安」 続く節約志向に、企業がとるべき対応とは
新型コロナウイルス感染拡大から1年超、生活者の心理はどのように移り変わってきたのだろうか。2020年3月下旬から週次で定点調査を行ってきたインテージのデータを基に、同社生活者研究センター長、田中宏昌氏が解説する。
生きるために必要不可欠な「食」は人々の身体と心の健康に直結する。「ウェルビーイング」という言葉がひろがる以前から、“よく生きる”ことを発信してきた味の素。コロナ禍で食に対する価値観がかわるなか、「男性の料理参加」を切り口としたプロジェクトを展開した。オウンドメディア運営を担当する松本大樹氏に話を聞く。
2021年3月、味の素はマガジンハウス発行のカルチャー誌『BRUTUS』との共同プロジェクト「世の中が変わるときは、料理をしよう。」を始動した。このプロジェクトでは、誰もがウェルビーイングを目指せるメソッドのひとつとして「料理」に着目。コロナ禍で自炊の機会が増加している男性をターゲットに、同社のオウンドメディアである『AJINOMOTO PARK』を起点とした発信を行った。
なぜ、メイン読者が男性の『BRUTUS』とプロジェクトを始めたのか。その理由について、オウンドメディアグループのマネージャーを務める松本大樹氏は、「私たちの商品の顧客は、圧倒的に女性が多く、『AJINOMOTO PARK』のオーディエンスも女性が多い。当社のメディアだけで、なかなかリーチできない層にメッセージを届けたかったこと、また男性の料理というカルチャーに対して前向きにとらえてくれるだろう媒体ということで、マガジンハウスさんにお声がけすることになりました」と話す。
味の素の創業は、1907年の「うま味」の発見が起点にある。「おいしく食べて健康づくり」という当時の理念を基に、コーポレートメッセージに「Eat Well, Live Well.」を掲げ、「減塩」や「運動時の食事」といった観点で、生活者に様々なアプローチを行ってきた。それではコロナ禍において、どんな発信が必要なのか⋯そう考えていた時に、プロジェクトを一緒に進める予防医学研究者の石川善樹氏との会話が発端となり、スタートしたという。
石川氏は、「コロナ禍で料理をした人の幸福度が上がっている」ことに着目。これまでの研究において、調査を行ったすべての国で男性よりも女性のほうが調理頻度が高いことが分かっているが、その頻度格差が少ないほど、国民全体の幸福度が高いというデータがある※1。男性が日々の食事に関与することで、女性の家事の負担が低減、それによって幸福度が増すということもあるだろう。加えて石川氏は料理によって得られる充足感が、男性の幸福度向上につながっているのではないか、と考えたのだ。