コロナがもたらす「家計不安」 続く節約志向に、企業がとるべき対応とは
新型コロナウイルス感染拡大から1年超、生活者の心理はどのように移り変わってきたのだろうか。2020年3月下旬から週次で定点調査を行ってきたインテージのデータを基に、同社生活者研究センター長、田中宏昌氏が解説する。
もしもの時に給付を受けることができる生命保険。しかしいま、従来の「保険」以外で利用者との接点を持ち、その事業領域を広げている。そうしたなか住友生命保険では2021年4月、人々のウェルビーイングを支える「WaaS」構想を掲げた。その取り組みについて、新規ビジネス企画部長の藤本宏樹氏に話を聞く。
「悲しみと共に貧しさが訪れないように」⋯。これは、住友生命保険の1966年当時の社長が新聞記者に生命保険の意義を問われて答えた言葉だという。しかし衛生環境も医療技術も格段の進化を遂げた今、生命保険会社には“いざという時”のための備えだけではない、新たな価値提供が求められている。
住友生命保険で新規ビジネスの企画に携わる藤本宏樹氏は、歴史を振り返りながら、生命保険会社としての新たなミッションについて語る。
保険事業は、経済成長と平均寿命の伸長に伴い、「貯蓄型保険」「死亡保障」「医療保障」と、その保障領域を拡大してきた背景がある。そうしたなかで2000年にWHOが提唱したのが「健康寿命」。寿命を延ばすだけではなく、「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」が重要視されるようになった。
同社では2011年から、ブランドメッセージとして「あなたの未来を強くする」を継続して掲げているが、この言葉にはリスクに備えるだけではなく、リスクを「減らす」ための支援をしていきたいとの思いが込められている。
未来のリスクを減らす方法としては、例えば健康を維持する活動がある。しかし、現時点で健康に不安を抱えていない人に対し、予防のために行動変容を促すことは難しい。そこで、同社が2018年7月から提供しているのが行動経済学の理論を基につくられた「Vitality(バイタリティ)」。南アフリカのディスカバリー社が1997年に開発したもので、現在、欧米、中国、アジア太平洋諸国など世界24の国と地域で展開。住友生命保険は日本での提携企業という立ち位置だ。
このプログラムは、日々の健康増進に向けた取り組みがアプリを通して蓄積され、獲得ポイントにより保険料が変動し、さらに特典を獲得できるというもの。例えば、スマートウォッチをつけて運動をする。提携スーパーで野菜を購入する。健康診断の結果を入力し、自身の健康を振り返る⋯1年間の取組みだけでなく、1週間の運動目標の達成に応じた特典など、思わず「体に良いこと」をしてしまう仕組みになっている。
「これまで、保険には“ファン”という存在はあまりいなかったと思うんです」と藤本氏。契約時には熟考していても、いざ加入すると何か起きない限り、日常的に保険のことを思い出す機会は少ない。それゆえ、契約者に価値を継続して実感してもらうことが課題になっていたという。その点で、ユーザーがアクティビティ進捗の様子をSNSに投稿するなどコミュニティが形成されている...