コロナがもたらす「家計不安」 続く節約志向に、企業がとるべき対応とは
新型コロナウイルス感染拡大から1年超、生活者の心理はどのように移り変わってきたのだろうか。2020年3月下旬から週次で定点調査を行ってきたインテージのデータを基に、同社生活者研究センター長、田中宏昌氏が解説する。
「不安」と消費者 生活、健康、将来の不安に寄り添う
クルマの所有には、多額の購入費用だけでなく、維持費がかかる。しかも、その出費の多くが突発的に起こる。本田技研工業では5月に“新車月額オールインワンサービス”の取り扱いを開始。どのような心理に寄り添おうと開発したのか、その狙いについて、販売部の白鳥大介氏に話を聞いた。
ロックダウンによる海外工場の稼働停止の影響もあって、国内における新車販売台数(軽自動車除く)が前年割れするなど、2020年にコロナ禍の影響を受けた自動車業界。一方で、3密を回避する移動手段のひとつとして、あるいは「車内テレワーク」という言葉が生まれるなど、自動車に対する意識が変わった一年でもあった。
メーカー各社が定額利用サービスをリリースするなか、本田技研工業でも2021年5月25日、月額定額金融商品「楽らくまるごとプラン(略称:楽まる)」の取り扱いを開始した。
同プランでは、新車の車両代に加え、契約期間中のメンテナンスや延長保証、税金、自動車保険などがすべて定額の月額料金に含まれるのが特徴だ。
「楽まる」というネーミングのポイントについて白鳥氏は、『定額コミコミ料金』を『まるごと』と言い換えて、車所有に対する親しみ感を強調しました」と話す。
これまで同社では、「所有」と「利用」の両面であらゆる利用形態をサポートしてきた。
「所有」では、通常の現金販売に加え、「バリュー保証プラン(バリ保)」「残価設定型クレジット(残クレ)」、今回の「楽まる」の3つの支払いパターンの金融商品を提示する。
そして「利用」の領域では、2017年11月から開始したカーシェアサービス「Every Go(エブリゴー)」。さらに2020年1月からは、所有と利用の中間に位置する「Honda Monthly Owner(ホンダマンスリーオーナー)」をリリース。最短1カ月から中古車を対象に利用できる、月極定額モビリティサービスだ。
こうした新たな金融商品導入の背景には、生活者の自動車購入形態の大幅な変化がある。
2019年度の日本自動車工業会による乗用車市場動向調査データによると、残価設定購入の利用比率は2013年の5%から2019年には20%まで増加。現金一括や...