設備維持に多額な費用 放送継続に負担
全国の民放AMラジオ47局で構成する「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」は6月15日、44局が2028年秋までにFM放送への転換を目指す方針を明らかにした。AMとFM補完放送の併用によるコストを削減し、経営改善につなげることが狙いだ。
AM放送の送信には広い敷地に100m規模のアンテナが必要になるなど設備維持の面で多額の費用がかかる。そのため、全国のAMラジオ局は設備の老朽化と、放送を継続しながら実施しなければならないアンテナの建て替えや設備更新が困難という課題を抱えているのだ。
民放AMラジオ各社は、AM放送の難聴対策や災害対策のため2014年からFM補完放送(ワイドFM)を開始し、現在は47局全ての民放AM局で実施している。ただ、AMとFM双方の設備投資・維持が必要なことから、負担が大きくなっていた。
これに関連して、日本民間放送連盟(以下、民放連)は2019年3月、「FM補完中継局制度の見直し」として、遅くとも2028年の再免許時までに、AM放送事業者の経営判断によって、AM放送からFM放送への転換や両放送の併用が可能となるような制度を整備することや、2023年の再免許時をめどに、一部のエリアで実証実験として長期間にわたりAM放送を停波できるような制度的措置を総務省の「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」に要望。
これを受けて、2019年8月には同検討分科会で民放連の要望に沿ったかたちで現行制度を見直すべきとの考えが示された。
2020年10月には、総務省が「民間ラジオ放送事業者のAM放送のFM放送への...