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社会学の視点

「恋のマイアヒ」に見る、しぶといネット時代のミーム

遠藤 薫氏(学習院大学)

身近な流行もミームの組み合わせ?

ハンドボール日本代表チームのキャプテン・土井レミイ杏利選手のTikTokが人気らしい。笑ってしまう変顔動画がいっぱい投稿されている。おや、と思ったのは、「マイアヒー」と歌っている動画だ。これって、もう15年以上前に流行った「恋のマイアヒ」ですよね?

「恋のマイアヒ」は、ルーマニアのO-Zoneというグループが歌って、2004年に世界的ヒットになった。でもただヒットしただけではない。歌詞がルーマニア語なので、日本人には聞き取れない。で、勝手に「空耳」歌詞を付けた「のまネコ」動画がネット上で大繁殖し、音楽番組やバラエティ番組でも取りあげられて、一時は「飲ま飲まイエィ」が社会現象化した。

人気は日本だけではなかった。特にアメリカでは、ゲーリー君という少年が曲に合わせて踊る自撮り動画が空前のアクセス数を記録し、誰も彼もが競って自分なりのダンスを投稿した。「踊ってみた」の先駆けである(詳しくは、拙著『間メディア社会と〈世論〉形成』をご覧ください)。

まあ、典型的なミーム現象である。こういう流行現象は、一時的に感染爆発しても、すぐに忘れられてしまうと思われがちだが、ネット時代のミームは、人知れずしぶとい。忘れたと思うと、CMの端っこやテレビのBGM、誰かのネタに...

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