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広告産業にイノベーションは起こせるか?

激変する環境に対応する、オープンハウスのデータドリブンな組織づくり

加藤勤之氏(オープンハウス)

ITを駆使したデジタルメディアとマスメディアの統合的なコミュニケーションで、1997年の創業以来成長を続けてきたオープンハウス。同社のマーケティング戦略について、広報宣伝部で責任者を務める加藤勤之氏に話を聞いた。

リードタイムは2週間!適切な顧客接点づくりとは

オープンハウスのマーケティング活動の柱は大きく分けて3つあります。認知獲得のためのテレビCM、集客目的のデジタルマーケティング、そしてメディアに積極的に露出を図るPRだ。この3つを組み合わせることで、トータルの広告予算を抑えながら効率の良い集客を行っているという。

広報宣伝部長の加藤氏によれば、契約者の6割から7割はWebからの流入がきっかけだという。“都心の一戸建て”という単価の高い商品ではあるが、Webで会員登録をしてから契約までのリードタイムの中央値は2週間程度と、非常に短い。物件という商材は、1点もの。人気の立地や住所にはすぐに買い手が付くため、「家を購入したい」という意思が比較的高まっている段階で会員登録をしているので、良い物件があればすぐに決めてしまう場合が多いのが特徴だという。

2013年の東証一部上場以来、二桁成長を続けてきたオープンハウスだが、営業力の高さもさることながら、その活動をデータドリブンなマーケティング活動が支えている。

「例えばWebで会員登録をしてくれた方に対し、30分以内にリアクションするかどうかで、契約率は大きく変わります。メールマガジンも単純に定期的に送付するのではなく、お客さまの情報やファネルのどの位置にいるかによって、プッシュする内容や頻度を出し分ける。またそうした施策の成果を、営業の担当者には逐一フィードバックします」。

現場とのコミュニケーションは、社内チャットで密に行われ、常にスピード感のあるPDCAを回しているのだ。

必要なのは「速さ」と「蓄積」求められる組織とスキル

オープンハウスは近年、テレビCMを活用したプロモーションとデジタルマーケティングの掛け合わせで、大きな成果を残してきた。その組織づくりとスキルについて、加藤氏はどのように考えているのだろうか。

まずテレビCMについて。都心にある好立地の戸建て住宅を、一般的な相場よりも低価格で購入することが可能なため、主な購買者は年収500~700万円、20代〜30代の共働き世帯だ。加藤氏によると、「若年層に伝えるのであればYouTubeで十分なのかもしれないが、あえてマス広告を活用している」という。

「“子ども夫婦が家を買う”となったときに、両親が経済的サポートをするかもしれない。そのときに、信頼のおける会社であるかどうか。『ニュースや経済番組に出ていたね』、『松田翔太さんがCMに出ている...

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