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広告産業にイノベーションは起こせるか?

広告・マーケティング領域を進化させる!社内データ活用に必要な「4つの役割」

西内 啓氏(データビークル)

マーケティングにおけるデータ利活用の重要性が求められて久しいが、実際の運用で悩みを抱えている組織は多い。ヒット書籍『統計学が最強の学問である』の著者としても有名な西内啓氏に、マーケティング領域でのデータ利活用の可能性について話を聞いた。

シングルソースデータ分析で メッセージの切り口を探る

累計50万部を突破した『統計学が最強の学問である』の著者である西内啓氏のキャリアは、東京大学病院医療情報ネットワーク研究センターから始まった。

医療は、世界的にビッグデータ解析の活用可能性に期待が寄せられる領域だ。日本でも厚生労働省が定めたフォーマットなどにより、問診情報や検査結果、処方記録などのデータが日々蓄積され、創薬や病気のメカニズムの解明などに役立てられつつある。また西内氏によると、こうしたデータを基に疾病を予防するための行動を促すことも可能だという。

「近年、医療の世界で注目されているのが『ソーシャルマーケティング』です。これは、世の中をよくするために、マーケティングの手法を応用して人々の行動を変えるという概念。例えば生活習慣病を予防するためには、食生活や運動習慣の改善が必要ですが、医師の指導だけではなかなか伝わらない。そこに、クリエイティブの力を生かすのです」。

このソーシャルマーケティングでは企業のマーケティング活動と異なり大規模な広告予算を投下することはできず、限られたリソースの制約下で人々に働きかける必要がある。そこでデータという明確なエビデンスをもって、メッセージの訴求や手法を徹底的に調査するのだという。

データ活用というと広告や施策の効果測定という側面に目が行く。しかし西内氏は、ソーシャルマーケティング同様、企業のマーケティング活動においても、生活者のインサイトをデータで捉え、企画段階でそのデータをを生かすことも重要だと指摘する。

「広告のクリエイティブに生かすという観点では、単純なアクセスログやPOSデータだけではなく、特に個人の属性やライフスタイルに基づいたシングルソースデータを活用するべきです。いま大手企業でもDtoCブランドを立ち上げる取り組みが広がっていますが、その理由のひとつが、自前でデータを把握できること。大手メーカーの顧客規模から考えれば、その規模はサンプルとしては小さいかもしれませんが、ロイヤルティの高い顧客のデータを、リアルタイムで取得することが可能になるのです」。

社内人材を活用できている?データ活用に必要な4つの役割

しかし「データを取得できても、どう活用していいかからない」「何か手をつけてよいか分からない」といった課題は、企業規模問わず生じていると。西内氏によれば、陥りがちな失敗パターンは以下の4つのどこかがボトルネックとなることだ。

(1)データ

(2)分析

(3)意思決定

(4)現場

社内でのデータ活用に必要なのは、これらの4つを推し進める役割分担であると西内氏は説く。

まず(1)でデータそのものを正しく整備・蓄積するのは、「データマネージャー」の...

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