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経済学の視点

「選択肢は少ない方がよい」は本当?

飯田泰之氏(明治大学)

「ジャム実験」から考える、研究をビジネスに応用する“心得”

近年の行動経済学・実験経済学では、マーケティングに直接応用可能な知見が多く発見されています。その一方で思わぬ誤解・誤用もあるようです。

一般的に考えて、商品ラインナップやバラエティは多い方がよいと考えられます。それだけ顧客の選択の幅が広がりますから。このような常識に一石を投じたのが、「ジャム実験」とよばれる研究です。有名なのでご存じの方も多いでしょう。ジャムの試食販売で、「6種類」と「24種類」のジャムを用意したところ、試食した人の中で購入した人の割合は6種類の場合は30%、24種類の場合は3%だったというのです。

“プロではない”顧客は、選択肢が多すぎると「迷ってしまって選べない」という現象が生じます。買い手にとって選択肢が多いことは、売り手の利益にはつながらないことがある。だからこそ販売の際の品数は絞り込まなければいけないというのが、この研究から「多くの人」が得る教訓です。

しかし、この結果を文字通りの形で受け入れてはいけません。類似の実験によっても、確かに選択肢がある程度絞られていた方が購入率は高いことが確認されていますが、「試食をする人数」は、選択肢が多い方が増加する傾向が...

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