権利の帰属
先日、DIC社が、同社の川村記念美術館を2025年1月から休館すると発表しました。同美術館は、レンブラントの肖像画、モネ、ルノワールなどの印象派絵画、マーク・ロスコ、ジャクソン・ポロックなどの抽象画など、754点に及ぶさまざまな作品を所蔵しています。うち384点が同社保有であり、資本効率上、保有資産が有効活用されていないことから休館の決定に至ったようです。
宣伝担当者が知っておきたい 著作権なんでもQ&A
Q.広告の一部に、ある漫画のセリフを掲載する予定です。1つのセリフのみの掲載ですが、漫画家の承諾は必要でしょうか?
ネタバレサイトに、連載漫画のほぼ全てのセリフが絵(コマ)の一部とともに無断掲載されたことについて、先日、裁判所は、著作権侵害と判断しました。発信者情報開示請求という、無断掲載者の氏名、住所、メールアドレス等の開示を求める手続での判断ですが、今回は、これを契機に、漫画のセリフについて考えます。
漫画は、絵(コマ)、ストーリー、セリフ等で構成されます。絵は、絵画、版画、彫刻などと同様に、「美術の著作物」(著作権法10条1項4号)となり得ます。また、ストーリーも、漫画の重要な創作的要素ですので、著作物になり得ます。一方、セリフは、絵やストーリーに比べると、それのみでは著作物にはなり難いでしょう。
漫画は、漫画家だけで制作される場合もありますが、編集者、アシスタント等が関与する場合もあります。編集者は、漫画家に対して、キャラクター設定、ストーリー展開など、様々なアドバイスを行います。編集者も、漫画に創作的に寄与していれば、理論上は、漫画の共同著作者となり得ます。ただ...