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広告業界トピックス

なぜか日本は広告のトレンドを『素通り』 グローバルで見た、広告業界の違い

吉井陽交(Executive Director, Advertising Week Asia)

出向したのはNo.1エージェンシー 90年代に感じた世界の熱気

2004年に米国で発足した「Advertising Week」は現在、アジアを含む6大陸にまたがるグローバル開催となっている。本連載では、私が「Advertising Week」のExecutive Directorとしてのネットワークを駆使して、日本の広告業界と世界各国とを比較、俯瞰していく。

第1回の今回は、私の体験に基づく導入部になるが、連載の途中からは世界各都市で業界に携わる人たちのリレー・エッセイも交えていきたい。まずは私の長い広告人人生のなかでの体験を話したいと思う。

「グローバルは突然やってくる」。「そろそろ広告人としても十分な経験を積んだかな」、と思っていた矢先に、役員の思いつきで、唐突にSaatchi & Saatchiへの出向が言いわたされた。若い方はご存知ないかもしれないが、私が出向した1994年当時の分裂前のSaatchi & Saatchiは、世界でも実力No.1のエージェンシー。言われるがままに行ってみたグローバル・エージェンシーで目から鱗の毎日が始まった。

コミュニケーション手法に見た日本とのカルチャーショック

当時の日本の広告会社は、世の中をあっと言わせるクリエイティブをつくって大量にメディアで露出するスタイルが王道。効果の可視化やKPIといった言葉を耳にしない牧歌的な世界だ。何やら欧米から「ブランドAE(アカウントエグゼクティブ)」とかいう言葉が聞こえ始めてきたのも同時期。そんな時代にSaatchi & Saatchiで過ごした数年間は驚きの連続だった。

「人の心がどんなメカニズムで動くのか」それがアドパーソンに課せられる、唯一の命題であり...

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